肝芽腫ってどんな病気

肝芽腫は子どもの肝臓にできる悪性腫瘍(がん)のひとつですが、『大人の肝臓がん(肝細胞がん)』とは全く違う病気です。日本では1年に約40〜60人が発症します。子どもの肝臓にできるがんとしては、他にも肝細胞がん、未分化肉腫、悪性リンパ腫、悪性胚細胞腫瘍などがありますが、いずれもまれです。
また良性の血管腫が肝芽腫と間違われることもまれにあります。 

     文:北河徳彦(小児外科指導医。小児がん認定外科医。神奈川県立こども医療センター小児がんセンター外科系部門長)


1. 主な症状
2. 肝芽腫になる原因
3. 肝芽腫のハイリスク
4. 組織型


  1.主な症状 





右上腹部のしこり
腹部全体が張った感じ
腹痛
急な嘔吐
発熱
ただし腫瘍が小さいうちは何も症状がないことがほとんどです。
子どもの腫瘍全般に言えることですが、早期発見をされることはまれで、ほとんどは非常に大きくなってから見つかります。これは、子どもではがん検診や内臓系の健康診断がないことが一因です。



  2.肝芽腫になる原因 

最新の分子生物学的手法を用いていくつかの有力な原因が調べられていますが、未だ決定的なものは分かっていません。



  3.肝芽腫のハイリスク 

肝芽腫が発症しやすいいくつかの因子があります。



家族性腺腫性ポリポーシス(FAP)
 ご家族がこの疾患を持っている場合、ご本人がこの保因者である場合があります。
ベックウィズ・ヴィーデマン症候群
低出生体重児




  4.組 織 型 

組織型とは、がんの組織を病理診断医が顕微鏡で観察して診断した結果で、生検、摘出手術により明らかとなります。以前は高分化型、低分化型等に分類されていましたが、最近は改定されています。

 ・ (純)胎児型(以前の高分化型)
 ・ 胎児・胎芽混在型
 ・ 胎芽型
 ・ 小細胞未分化型
 ・ 上皮・間葉混合型

組織により治りやすさがある程度違い、例えば純胎児型では完全切除されれば予後が良いとされていますが、組織型以外にも多くの因子があり、一概に組織型で予後を判定することはできません。(※詳細は『病理組織学的分類』をご覧ください。




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