肝芽腫は現在のようなプロトコールを使った集学的な治療を始めたのが1990年ごろですので、当時2才だった子は2018年現在30才です。現在分かっている晩期合併症は、『腸閉塞』、『心筋梗塞』、『心機能障害』、『歯の形成障害』、『聴力障害』、『心の発達の遅れ』などです。その他にも「これは治療の影響ではないか・・」というものはいくつかありますが、はっきりとしているのはこれらです。また、現在分かっているもの以外にも今後あらたな晩期合併症が出てくる可能性はあります。薬剤ごとに出るものについては『薬剤ごとの副作用』を参照してください。
このうち、『腸閉塞』、『心筋梗塞』、『心機能障害』については、症状が現れたらできるだけ早く医師に診せなくてはなりませんが、『歯の形成障害』、『聴力障害』、『心の発達の遅れ』などは医師とともに定期的にじっくりと経過を診ていきます。また、晩期合併症とは少し違うかもしれませんが、退院時には小さかった子が成長することによって子ども自身が「悩み」として抱えるようになるものもあります(傷あとなど)。
急を要する症状以外のものは、専門家との連携や日常での工夫・配慮で何とかやっていかれるものがほとんどですので、あまり心配しすぎないようにして下さい。
「晩期合併症や退院後の問題にはこういうものがある」、ということを知った上で、その子の体力や状態に合わせた生活をしていき、もし晩期合併症が出た場合にはその時に医師や各専門家に相談していくのがよいと思います。
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