組織型は以前は高分化型、低分化型等に分類されていましたが、最近では以下のように改訂されています。

       文・田中祐吉(病理診断医。神奈川県立こども医療センター臨床研究所長・病理診断科部長)


1. 胎児型(Fetal type)
2. 胎芽型(Embryonal type)
3. 胎児・胎芽混在型(Combined fetal and embryonal type)
4. 小細胞未分化型(Small cell undifferentiated type)
5. 上皮・間葉混合型(Mixed epithelial and mesenchymal type)



  1.胎児型(Fetal Type) 

胎児期の幹細胞に類似した腫瘍細胞からなります。
a. Well-differentiated subtype (Pure fetal type)
b. Mitotically active subtype
a.は内科的治療前に完全切除された場合、手術後の化学療法なしでも予後が極めて良好です。



  2.胎芽型(Embryonal type) 

胎芽期の幹細胞に類似した腫瘍細胞からなり、腫瘍全体がこの型のものは稀です。



  3.胎児・胎芽混在型(Combined fetal and embryonal type) 

1.と2.の混在したもので、肝芽腫の中で最も頻度の高い組織型です。



  4.小細胞未分化型(Small cell undifferentiated type) 

肝芽腫全体の数パーセントと稀ですが最も予後不良の組織型とされてきました。
しかし、現在その多くは「ラブドイド腫瘍」という別の種類の腫瘍と考えれています。



  5.上皮・間葉混合型(Mixed epithelial and mesenchymal type) 

1.~4.は肝細胞(上皮細胞に属する)成分に基づいた分類で、「上皮型」としてまとめられますが、それに加えて類骨・未熟神経組織・メラニン細胞など肝臓には通常みられない成分が混ざってみられるものです。この組織像は、治療後にみられることの方が多いです。




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