3    1999.5/12 - 5/25 (入院29日目 〜 入院42日目)

ちょっと寄り道(2)  感染症の恐怖
爽は入院した早い段階でMRSAに感染し、4週間隔離になってしまいました。さらに1ヶ月半後には夫が極度のストレスのため、普通あまり若い人はならない帯状疱疹になってしまい、外泊中だった爽と接触したことにより爽が水痘(水ぼうそう)ウィルスに接触しました。
水ぼうそうは小児がん治療中の子が感染し発症すると非常に重症化したり、時には命を落とすことさえある怖い感染症です。
爽はすでに水ぼうそうの予防接種もおたふくの予防接種もしていたのですが、数回の抗がん剤治療により抗体が消えてしまっていたため、またまた4週間今度は病棟内の病室隔離ではなく、監視カメラ付きの本格的な(?)『隔離病棟』に隔離され、部屋から出られない辛さを入院前半でイヤというほど思い知らされました。
治療の合間の外泊では人ごみこそ避けながらあちこち連れて行ってあげる親もいましたが、うちはそんなでしたので「好きなところへ連れて行ってあげられないのはかわいそうだけれども、感染症で隔離されるのはもっとかわいそう」と言う気持ちになっていて、外泊中もせいぜい車を借りてのドライブくらいでした。
入院後半にはさらに病棟で水ぼうそうに罹った子が出て、爽を含めた水痘の抗体がない小さい子の多くがまた4週間、病棟内の病室に隔離となりました。しかもこの時は面会に来る親たちの抗体も調べ、抗体がなかったあるお母さんは隔離された自分の子に4週間面会が出来ず、その子も「病室から出られない上にお母さんにも会えない」ということになってしまい、見ている私たちも辛かったです。結局、爽は12ヶ月の入院期間中の3ヶ月を隔離という状態で過ごさなくてはなりませんでした。

感染症で隔離されると部屋から出られないだけではなく、しなくてよかったはずの点滴をし、飲まなくてすんだはずの薬をたくさん飲まなければならなくなります。ですから退院してからも血液腫瘍科で治療を受けた親は、外来に通う時に病院内に感染症を持ち込まないように細心の注意を払います。でも日常の生活では水ぼうそうは「罹ってもどうってことのない」感染症です。それどころか近所で誰かが水ぼうそうになると、「うつしてもらおう」と言って罹った子の家へ連れて行く親さえいます。たぶんそれが「普通」であり、私も自分の子がこういう病気にならなければそんなことを言っていたかもしれません。
もしこれを読んで下さっている方の近くに小児がんの治療を受けていたり、こども病院に通っているお子さんがいるのであれば、『水ぼうそうが流行っていること』を必ず教えてあげると同時に、少なくともその親のいるそばで「○ちゃんが水ぼうそうなんだって!うちもうつしてもらおうかな」ということは言わないで下さい。退院して自然に水ぼうそうに感染するまで『水ぼうそう憎し。水ぼうそう恐怖』は続くのです。(2005.11.29)

1999.5.12(水) こども医療センター入院 29日目 Bランク

[状態]   
MRSA隔離 ・ 骨髄抑制 ・ 下痢 ・ 発疹 ・ 食欲低下

[処置]   
CT(腹部・胸部) ・ 抗生剤点滴 ・ 包交 ・ フィルター交換

○爽母
発疹が増える。原因不明だが内から出たものではないらしい。
3時50分頃CTのため造影剤を注入する管を鼻から入れるが、ひどく痛がる。
また今日も抗生剤のため下痢をし、その際うずくまってお腹を痛がる。

[医師カルテ]
機嫌悪く、ごはん食べず!

[看護記録]
夜間浅眠。朝、食欲なく朝食見せた途端怒ってしまい「いらない!いらない!」と。
水分も飲まない。熱型落ち着いてきているようだが、引き続き感染症注意していく。
1人でいると気ままにすごし、車を「ベンツ」「パジェロ」などと言い楽しそう。母には抱っこされてすごすこと多い。
昨日の発疹、右顔面4〜5個と両手首に1個ずつ増えている。母かなり心配しているが、ドクターが感染性のものでないことを伝えると納得する。陰部発赤、尿パックによるものと思われる。
16時すぎCTへ。17時帰室。帰室後よりずっと入眠していたが、23時に起こすとようやく起きる。
飲水してもむせることなく、与薬できる。フラフラしている感じはまだある。

[CT検査報告書] 
残存肝内に腫瘍を示唆する明らかな異常吸収値は認められない。転移を示唆する明らかな異常構造は認められない。
(所見) 肝に残存再発tumor(*腫瘍)は認められない。明らかな転移もない。

[使用薬剤]                  
・抗生剤(CAZ/CMZ/AMK)        ・5%グルコース 10ml
・ガストロ 2t                                  ・ST3
・ネンブタール 0.7ml

[食事]      
1日中何も食べず(昼は検査のため禁食)


1999.5.13(木) こども医療センター入院 30日目 Bランク

AFP 700

[状態]   
MRSA隔離 ・ 骨髄抑制 ・ 悪寒 ・ 下痢 ・ 発熱39度7分 ・ とびひ

[処置]   
血小板輸血 ・ 血液培養 ・ 採血 ・ 抗生剤点滴

[採血結果]                  
好中球       15                                GOT    34
白血球       1500                            GPT   21
血小板       1万1000                     LDH   442
ヘモグロビン     6.2                               CRP   0.77

[看護記録]
夜間訪室し、オムツ見ようとすると目覚め「ベンツ」などと言いおもちゃで遊び始める。ナース退室すると入眠する。
顔面の発赤疹、左側だけでなく右側にも2個あり。増えているのか? 触ると「いやー」と嫌がる。
下痢のため臀部発赤、痛みあるためアンダーム指示もらう。

○爽母
発疹はとびひらしい。好中球が15個になり、血小板も少ないため出血しやすいとのと。夜から輸血する。
夕食後少し元気がなくなり、「抱っこ」というので抱っこしていたら急にふるえだし熱が上がる。出血性のものかと心配になる。
Dr.Aが採血し培養にまわすが、出血性や炎症性のものではないようだとのこと。6時半頃よりウトウトし始め、7時5分頃眠る。抗生剤はもう少し続けるとのこと。次回の抗がん剤は25日からの予定。

[看護記録]
熱39度7分まで上昇し、メチロン(*解熱鎮痛剤)使用。その後36度台まで下降。
20時10分、ポララミン2r(*抗ヒスタミン剤。輸血によるアレルギー症状予防のため)投与。
20時15分、血小板輸血開始。22時、抗生剤点滴のため輸血一時停止。0時30分抗生剤終了。
輸血再開し、14日午前4時30分、終了。

[医師カルテ]
BM suppression (*骨髄抑制)。
血小板5月10日 7.1万 → 13日 1.1万。減少早い。Infection (*感染症)からんだため?
5月10日のAFP1200。半減期4.6日からすると下がり悪い。
【次のchemo(*化学療法)開始基準】
Neutro (*好中球)  1000以上
PLT (*血小板)  10万以上
・1週間は待機
・1週間以上BM回復(*骨髄の回復)遅延するなら3/4量でスタート

[使用薬剤]                  
・抗生剤(CAZ/CMZ/AMK)             ・ポララミン 2r     ・メチロン (*解熱鎮痛剤)

[食事]      
○朝食        ごはん・のり佃煮
○昼食        パン1枚
○おやつ     プリン・ポカリ150t
○夕食        ふりかけごはん・魚
○おやつ     ポカリ


1999.5.14(金) こども医療センター入院 31日目 Bランク

[状態]   
MRSA隔離 ・ 骨髄抑制 ・ とびひ ・ 熱下がる

[処置]   
抗生剤点滴(CAZ/CMZ/AMK) ・ 包交 ・ フィルター交換

○爽母
とびひはピークを越える。
熱が下がり、やや元気が戻る。トーマスのビデオを繰り返し見ている。ファンギゾンは相変わらずだめ。
帰るとき大泣き。

[看護記録]
午前4時30分、血小板輸血終了。引き続き抗生剤点滴開始。
夜間かなり浅眠がで触るとすぐ起きる。しかし再入眠出来る。朝食はパンを機嫌よく食べる。
とびひは顔面右に5個、左に1個、額に1個、両手甲に1個ずつみられるが、改善傾向にあり。ナース触れようとすると「いたい、イヤ!」と言うのは変わらないが、以前より笑顔多く見られる。1人になってもおもちゃでおとなしく遊べる。単語での発語さかん。

[使用薬剤]                  
・抗生剤(CAZ/CMZ/AMK)       ・ST3 

[食事]      
○朝食        パン
○おやつ     ジョア
○夕食        ふりかけごはん1/3・魚
○おやつ     スィートポテト・オレンジジュース

○爽母
下の子はしきりと喃語を話す。


1999.5.15(土) こども医療センター入院 32日目 Bランク

[状態]   
とびひ ・ MRSA隔離 ・ 骨髄抑制 ・ 微熱37度台前半

[処置]   
抗生剤点滴(CAZ/CMZ/AMK) ・ 採血

[採血結果]                  
白血球        1500                          GOT       26
ヘモグロビン   11.8                       GPT       21 
CRP           0.52                       LDH     467

○爽母
CRP0.5に下がるが、抗生剤は続けることになる。新しいトーマスのビデオを喜んで見る。
夫が休憩中に「おまる」と言い、座らせるが出ずに再びオムツにする。おやつの『おっとっと』を嬉しそうに40分かかって食べる。

[看護記録]
発熱ないが、やや熱感あり。とびひは色調薄くなってきている。陰部(*尿パックはがしたあと)はかなりガサガサ。
ナース行くと一瞬おびえた表情することあるが、お相手すると表情よい。トントンや抱っこは嫌がり、「あっち行って」と廊下を指す。
微熱あったが入眠後36度台になる。顔面のとびひは発赤薄くなってきており増強なし。消毒嫌がらず。陰臀部の発赤も軽減してきている。

[医師カルテ]
機嫌よくおしゃべりさかん。もうしばらく三者(*抗生剤CAZ/CMZ/AMK。私たちは『3本セット』と呼んでいた) go on.

[使用薬剤]                  
抗生剤(CAZ/CMZ/AMK)

[食事]      
○朝食        ごはん・納豆・さつまあげ
○昼食        食べず
○おやつ     プリン
○夕食        ふりかけごはん・魚1/3
○おやつ     おっとっと・オレンジジュース

○爽母
下の子、だいぶ首が上がるようになる。

○爽父
母が茨城へ帰る


1999.5.16(日) こども医療センター入院 33日目 Bランク IVHカテーテル断裂

[状態]  
熱37度後半 ・ MRSA隔離 ・ とびひ ・ IVHカテーテル断裂

[処置]   
IVH抜去 ・ 抗生剤点滴(CAZ/CMZ/AMK)

[看護記録]
内服嫌がるので抱いて手で押さえる感じで飲ませる。
AMK(*抗生剤)終了のアラームが鳴り、訪室すると三方活栓(*点滴を3方向から入れられるように分割する部品。電気のタコ足配線みたいなもの)より液漏れあり、自然滴下ないため三活よりヘパ生プッシュするとIVHブロビアック(*カテーテルの種類)の先の細くなったところが破裂してしまった。
当直ドクターにコールし、部位の消毒し、ガーゼ保護。9時、末梢ルート確保(左手手背 24GジェルコST3 30ml/h)
10時、点滴右手に差し替え抗生剤点滴。
ヘパ生スムーズに入るが、ブロビアック明日にならないとものがなく、感染の可能性高いため、抜去することとなる。
医師カルテ]                                                  
(*カテーテルの)リペアキットは明日にならないと入荷出来ないと(在庫ぎれ)
BM suppression (*骨髄抑制)中であり、infection (*感染症)起こすと危険なため抜去。
HBL(*肝芽腫)プロトコールはCDDP(*シスプラチン)24時間、THP-ADR(*ピノルビン)48時間持続点滴なので末梢は危険。
BM回復したらブロビアック左(*左胸)より再挿入したい。

(*『抜去』と一言で書かれていますが、点滴の管を抜くのとはわけが違い、抜いたあとも数針縫います。またIVHを再び入れるためには手術室へ行って簡単な手術をしなくてはなりません。IVHを入れるために使った血管は2度と使えないので別の血管を探しての入れ替えとなるのでなかなか大変ですが、IVHは心臓に近い太い静脈に直接繋がっているので菌が入りやすく、当時骨髄抑制中だったのでたとえもう一度手術で入れなくてはならなくても抜いたほうがより安全であるという判断で抜去しました。ですから爽の首と胸には左右両方にIVHを入れた傷があります。まあ肝芽腫の手術痕があまりにも大きいのでIVHの傷に目が行くことはほとんどありませんが・・)

[看護記録]
11時、ネンブタール(*麻酔)7ml、5%TS投与。ネンブタール0.5ml追加。コントミン1/2A投与。
11時50分、キシロカイン(*局所麻酔)3ml皮下注射。ブロビアック(*IVHカテーテル)抜去。
12時より再び抗生剤点滴。

○爽母
夫が病院へ行く。
IVHが断裂したため、敗血症等を起こす恐れがあるので抜去したとのこと。その麻酔のため、目を覚ましたのは4時。点滴はIVHにつなげないため、手に針を刺してすることとなったため、機嫌悪し。

[看護記録]
17時15分、熱37度7分。20時入眠後、次第に解熱

[使用薬剤]                  
・抗生剤(CAZ/CMZ/AMK)                   ・ネンブタール(*麻酔)
・コントミン 1/2A(*精神神経用剤)           ・ST3
・キシロカイン 3ml(*局所麻酔)


1999.5.17(月) こども医療センター入院 34日目 Bランク

AFP 430
[状態]  
MRSA隔離 ・ 脱毛目立つ ・ 悪寒 ・ 発熱38度8分 ・ 戦慄 ・ とびひ

[処置]   
抗生剤点滴(CAZ/CMZ/AMK) ・ 採血 ・ 包交(抜去部)

[採血結果]                  
好中球     23                    ヘモグロビン  7.8
CRP       1.0                   GOT           29
白血球  1800                   GPT           12
血小板  19万8000             LDH        414

[看護記録]
朝、熱37度後半みられる。食欲あまりなし。とびひは改善傾向。
9時55分、点滴の滴下あるが緩慢、全体に(*腕が)ポテッとしているため抜去。10時30分差し替え。

[医師カルテ]
末梢(*手足の血管)はすぐ漏れてしまうため、早めにオペ(*IVHカテーテル入れの)申し込み。一応5月25日(火)のワク申し込み。
BM suppression (*骨髄抑制)中だが、回復傾向。
Infection (*感染症)CRP上昇。PM(*午後)38度5分以上まで再上昇。
明日も熱あるならPAPM/SBTCPZ(*抗生剤の名前)へ変更。

[看護記録]
(*午後)悪寒・戦慄あり。熱上昇。昨日のカテ抜去のためかもしれず、Dr.Aコールし、メチロン使用することとなる。
15時20分、38度7分。顔面とびひは全体に改善。
活気あり。機嫌良いが、メチロン後(*熱)再上昇。メチロン使用する(*2回目)。
21時、38度8分。24時、36度3分。

○爽母
好中球少し上がる(15→23へ)。熱が高いがわりと元気。とびひのあとは一段と薄くなる。
今日は右足に点滴。髪が抜け始める。
三菱のマークを「いちび」と言い、窓ガラスのマークとパジェロのマークが同じことを発見して喜ぶ。
看護婦さんが忙しかったらしく、夕食後に身体を拭く。
IVHは25日午後に入れる予定。抗がん剤は来週後半の予定。

[使用薬剤]                  
・抗生剤(CAZ/CMZ/ZMK)                   ・ST3                   ・メチロン 0.4ml

[食事]      
○おやつ     ヨーグルト・ポカリ
○夕食       ふりかけごはん・魚・入り卵(少)

○爽母
、首がだいぶすわる。体重8s


1999.5.18(火) こども医療センター入院 35日目 Bランク

[状態]   
MRSA隔離 ・ 骨髄抑制 ・ 熱性けいれん ・ 熱40度4分 ・ 食欲なし ・ 体重10.32s

[処置]   
酸素吸入 ・ 血液培養 ・ 抗生剤点滴(朝・CAZ/CMZ/AMK)(昼・カルベニン・スルペラゾン・ジフルカン) ・ 採血

[採血結果]                  
CRP          1.95                   好中球       126
白血球       1200                   ヘモグロビン   8.3
血小板   27万5000

○爽母
昼12時20分、熱のためふるえ、その後けいれんを起こし、唇がチアノーゼになったため、酸素吸入。
私が行った時はベッドに座って遊んでいたが、鼻に吸入の管をつけていたので驚いた。髄膜炎や転移の可能性は低いが、再びけいれんを起こした時は、骨髄検査とCTを行うとのこと。その場合は夜でも自宅に電話してもらうよう頼む。
1人で歯磨きができる。

[看護記録]
起床後発熱なし。起きてすぐトーマスのビデオ見て機嫌よい。トーマスの仲間の名前次々言い当て教えてくれる。
9時30分、熱38度4分。クーリングは嫌がり、臥床もせず有効ではない。採血で不機嫌となり、食欲もない。昼食全く食べず。
12時20分、臥位で上肢ガクガクしている。顔色不良。声かけにも返答ない。
眼球上転、O2(*酸素)10リットル開始。

[医師カルテ]
12時20分、戦慄・顔色不良とのこと。
訪室時、顔色悪化 ・ 口唇チアノーゼ著明 ・ 顔面ぴくつき ・ 眼球上転(右上) ・ 意識低下

[重症患者管理表]
ドクター来棟、セルシン(*麻酔)1t注射。顔面チアノーゼみるみる強くなるが、セルシン・酸素、開始し改善してくる。
マスク嫌がり泣き出し、「もう終わり、もう終わり」と言葉出てくる。
13時、顔色だんだん戻ってくるが、酸素持続使用の指示でカヌラ変更。嫌がるが、「大事、大事」と教えると、むしり取ろうとはしない。
14時、母面会。Dr.A、母へムンテラ(*説明)
「感染あることで熱出しており、抗生剤使っているが、本日その熱のためひきつけを起こした。目も白目になっていたが、すぐ意識は戻った。念のため酸素と呼吸をモニターする機械をつけている。髄膜炎ではないと考えているが、繰り返すようなら検査する」
母、心配そうではあるが、児がけっこう活気あり、おしゃべりもさかんなため、ほっとしている様子。
発熱の苦痛あり。酸素やモニターが増え、いらだっている様子あり。本日CRPやや上昇(*1.95。CRPは炎症反応の値)。
抗生剤変更となるが、再度熱上昇にともない、けいれんの起こる可能性あり。

[使用薬剤]    
・抗生剤(CAZ/CMZ/AMK)              ・抗生剤(カルベニン・スペラゾン・ジフルカン)
・セルシン                                 ・メチロン 0.4ml

[食事]      
○朝食        ウィンナー 
○昼食        食べず
○おやつ     ポカリスエット
○夕食        途中腹痛を訴えたため、中止

○爽父
今日、昼前に茨城母来てくれる


1999.5.19(水) こども医療センター入院 36日目 Bランク

[状態]   
MRSA隔離 ・ 骨髄抑制

[処置]   
抗生剤点滴(カルベニン・スルペラゾン・ジフルカン) ・ 包交

[重症患者管理表]
夜間まずまず入眠できているが、ナースの訪室で覚醒してはルート類(*点滴の管)をさわっている。
「大事だよ」と教えると、「大事、大事」と言う。発熱みられず、いつものおしゃべりも出来ている。
食欲はない様子で、食事みて「いらない、いらない」と。状態安定のため「重症患者管理表」から「看護記録」へ戻す。

[看護記録]
おしゃべりさかんで笑顔見られる。とびひはかなり改善傾向にあり。イソジンケア中止でよさそう。

○爽母
私がカゼでのツベルクリンもあるため、夫が行く。

○爽父
爽はビデオをみていた。今日は熱もなく元気で、ビデオを見たり、窓から外を見たりする。抗生剤は右手から入れている。
歯磨きはブラシを自分で持ち、出来るようになる。イソジンをつけても嫌がらなくなった

[使用薬剤]                  
・カルベニン  250r 3回                        ・SP 400r 2回
・スルペラゾン 400r 3回                 ・ST3
・ジフルカン   50r 1回

[食事]      
○朝食        食べず
○昼食        パン2枚
○おやつ     ポカリスエット
○夕食        ごはん1/2杯 
○おやつ     せんべい1枚・オレンジジュース

○爽母
は注射の時、少しイヤそうな声を出すが泣かず。


1999.5.20(木) こども医療センター入院 37日目 Bランク

AFP 280

[状態]   
MRSA隔離 ・ 骨髄抑制 ・ 熱37度6分 ・ 脱毛目立つ

[処置]   
抗生剤点滴 ・ 採血

[採血結果]                  
CRP        1.1                              GOT      42
好中球        172                             GPT           18
ヘモグロビン    7.7                               LDH          685
白血球        4300                           血小板       34万1000

好中球が172まで上がる。このためIVHの手術が25日(火)午後に決定する。
その時点で好中球が1000を超えていれば翌日から抗がん剤治療を開始する。
脱毛すすむ。見た目には分からないがすごい。ついでに私もなぜか毛が抜け続けている。
IVHが抜けて以来、両手両足と日替わりに点滴しており、今日は右手だったので不自由そうだった。

[医師カルテ]
infection (*感染症)。
解熱して2日目。CRPも軽度低下してきた。Neutro(*好中球)もアップしてきているので、このままおさまりそう。
【5月18日のconvulsion(*けいれん)】は
その後の本人の意識レベルOK。回復スムーズ。臨床的にmeningitis(*髄膜炎)疑う所見は以降もなし。
原疾患によるものも考えられず。1、2分のtonic convulsion(*硬直性けいれん)であったことから、F.C.単純型(*単純型熱性けいれん)として経過みていく。
5月25日、IVHカテ入れ。
その後好中球1000以上、血小板10万以上確認したら、2コース目を来週中にも開始したい。(本来の予定日5月25日)
前回のchemo(*化学療法)はAFPの経過みると、effective(*有効)と判断してよいだろう。

[看護記録]
夜間37度前後。体熱感軽度あり。
朝の内服後、食事を持っていくと、「イヤー」と食べず。歯磨きは上手になった。
ナースが話しかけると繰り返す。体温を測定すると数字を読んでいる。嫌なこと(処置)に対してはかなり抵抗する。
夕方37度6分。入眠してからは36度台へ下降。
母、けいれんを心配しており、「熱が上がってこの間みたいなことがあると恐いのでお願いします」と言って帰られる。

[使用薬剤]                  
・カルベニン  250r 4回                            ・SP 400r 3回
・スルペラゾン 400r 1回                   ・ST3
・ジフルカン

[食事]      
○朝食        食べず
○昼食        パン1個
○おやつ     ヤクルトミルミル
○夕食        ふりかけごはん・肉団子4/5個・かぼちゃ2口
○おやつ     ロールケーキ・ミルミル


1999.5.21(金) こども医療センター入院 38日目 Bランク

[状態]   
MRSA隔離 ・ 発熱39度5分 ・ 倦怠感 ・ 脱毛

[処置]
抗生剤点滴 ・ 培養 ・ IVH抜去部の抜糸

[看護記録]
夜間訪室しても覚醒せず。まずまず眠れていた。
末梢滴下なし(*点滴が入っていかないという意味)。
刺入部腫脹ないが、逆血なし。ヘパ生プッシュにて痛がる。滴下かわらずないため抜去する。
刺しかえや抜糸等処置多く、大泣きするが、刺しかえ後はケロッとしている。ナースそばにいるのは嫌なようで、「あっち!」と言う。
脱毛目立つ。口に入らないよう掃除していく。

○爽母
午後3時頃よりだるそうなので熱を測ったら、39度5分。その後解熱剤などを入れ、帰る頃には38度3分まで下がる。途中採血したところ、CRPは0.55であまり問題ないが、好中球の上がりがあまり遅い時は、好中球を上げる薬(*G-CSFという薬)を使用するとのこと。ただしこの薬はごくまれに二次がんを引き起こすので、あまり使いたくない薬である。
だるいらしくあまり元気もなかったが、ピングーのビデオ見てすごす。今日は足に点滴。こどもの血管は細いためすぐ液もれするという。
(*二次がん:薬の副作用で別のがんになってしまうこと。肝芽腫などの固形腫瘍の場合は白血病や悪性リンパ腫などの血液のがんになることが多いそうです。G−CSFだけでなく、抗がん剤そのものにも二次がんの副作用があるものもあり、爽はその薬を後半の6回使いました)

[医師カルテ]
17時、39度台へ上昇。感染症まだ落ち着かない?
今日はこのままSBTCZ/PAPM/FCZ(*抗生剤の名前)で観察。明日も高熱あるならG-CSF(*好中球をあげる薬)開始する。

[看護記録]
メチロン・クーリングにて徐々に解熱。
母、熱発したことを気にしており、先日のけいれんが再び起こるのではと気にされる。面会終了時までに徐々に解熱していることを話すと安心される。「気になるようならいつでもよいのでお電話下さい」と伝える。母も、「万一けいれん起きたら連絡下さい」と。
21時、末梢やはり滴下なくなってくるため、抜去し刺しかえる。刺しかえ時泣くものの、じっとしていられる。

[使用薬剤]                  
・カルベニン                  ・メチロン
・スルペラゾン               ・SPZ
・ジフルカン

[食事]      
○昼食        ロールパン1個
○おやつ     プリン
○夕食        ふりかけごはん
○おやつ     ポッキー・ポカリ

○爽母
はBCG接種。3秒くらい泣くが、すぐ泣き止む。


12/91999.5.22(土) こども医療センター入院 39日目 Bランク

[状態]   
MRSA隔離 ・ 熱37度5分 ・ 点滴漏れによる足の腫れ

[処置]
抗生剤点滴

○爽父
茨城母にを見ててもらい、2人で病院へ行く。今日は熱もなく元気でピングーのビデオ見る
今日はあまり熱がないが、昨日の足の点滴がもれて腫れていた。
おやつのアイスクリームをおいしそうに食べる。アポロ13号のビデオを見る(奇跡の生還をする話)

[看護記録]
8時50分、逆血あり。ポッテリしており抜去。9時50分刺しかえ。20時30分、入眠。

[医師カルテ]
末梢(*点滴のための末梢血管確保)がかなり厳しくなってきて、1日2回は点滴さしかえ必要(すぐもれてしまう)。
Neutro(*好中球)多少少なくてもアップ傾向なら予定通り25日カテ入れ(*IVHカテーテル入れ)をやってしまう。

[使用薬剤]                  
・カルベニン 250r                       ・ジフルカン 50r                   ・スルペラゾン
・ST3                             ・SP 400r                       ・SPZ

[食事]      
○朝食        パン
○昼食        みそ汁の汁のみ
○おやつ     アイスクリーム
○夕食        ふりかけごはん・魚・かぼちゃ(少)
○おやつ     ケーキ・牛乳

○爽母
は近頃寝返りをしようと一生懸命で、45度は軽い。


12/101999.5.23(日) こども医療センター入院 40日目 Bランク

[状態]
MRSA隔離 ・ 発熱38度7分 ・ 創部小量出血 ・ 右足の腫れ

[処置]   
抗生剤点滴 ・ 血液培養

○爽父
病院に行くと爽はゴロンとしていて、窓をコツンとたたくと気がついてニコリとする。左手から抗生剤を入れている

○爽母
昨日の右足の腫れ、ひかず。
午後5時、熱が上がり始め、あまり元気がなかったが、上がりきったところで2、30分眠り、その後少しずつ下がる。6時から『大草原の小さな家』を見る。おやつの牛乳はほとんど飲む。
熱があって心配したが、帰宅後夜10時頃電話したところ、8時すぎに眠ってしばらくして36度8分に下がったとのこと。

[看護記録]
明け方5時頃より覚醒するが、ぐずりなく、ビデオつけるとすぐに再入眠する。
母、けいれんのことを心配しており、21時頃電話が入る。自然解熱したことを伝えると安心したようで、笑い声になる。

[使用薬剤]  
・抗生剤(カルベニン・スルペラゾン・ジフルカン)                   ・SP

[食事]      
○朝食        パン1枚半・納豆
○昼食        パン2/3
○おやつ     パン1/2枚
○夕食        ロールパン・スパゲッティ
○おやつ     牛乳

○爽母
、ひっきりなしに寝返りを試みる。(*この時爽の弟は生後4ヶ月)


12/111999.5.24(月) こども医療センター入院 41日目 

AFP 150(↓)

[状態]
MRSA隔離 ・ 微熱37度3分

[処置]
抗生剤点滴 ・ 採血

[採血結果] 
CRP       0.71                        ヘモグロビン   8.4
好中球        611                        血小板         42万3000
白血球        4700

○爽母
好中球が611まで上がったので、明日IVHの手術を予定通り行うこととする(午後1時から)。
前回と違い、シングルではなくダブルのカテーテルを使用する。
今日は感じの悪い看護婦で、病室に行ったらビデオもついておらず、おもちゃも全部片付けられていて、ベッドにぽつんと座っていた。
非常にむかついた。

[看護記録]
発熱なし。朝も上昇せず、起床後機嫌よくニコニコとしてすごす。
夕方37度3分あるが、入眠後36度台へ。

[使用薬剤]                  
・抗生剤(カルベニン・スルペラゾン・ジフルカン)            ・ST3                    ・SP

[食事]      
○朝食        パン・みそ汁
○昼食        パン・ハンバーグ1口
○おやつ     ヨーグルト

○爽母
下の子は熱もなく機嫌よし。


12/121999.5.25(火) こども医療センター入院 42日目 Bランク・IVH手術

[状態]   
MRSA隔離 ・ IVHカテーテル手術 ・ 微熱

[処置]   
IVH手術 ・ 抗生剤点滴 ・ 包交

[術直前看護記録] 
6時起床。「パン、パン!」と食べたがるが、ビデオで気が紛れる。6時50分、麦茶10ml。
8時50分、検温・入浴・陰洗。微熱あるが、カゼ症状なし。
入浴嫌がり、ベビーバスの中で立ってしまう。
11時、前投薬(*アタピーシロップ10r)。内服嫌がり大抵抗。押さえつけて飲ませる。

○爽母
11時50分頃病院着。すでに眠くなる点滴をされて手術着を着ていた。その後液もれしたため点滴をはずす。
ばんそうこうが少しはがれているのがすごく気になるらしい。午後1時頃、マスクをして手術室に向かう。

[手術室看護記録]
13時15分入室。
「あっち行く」と入室を嫌がり大泣き。押さえ込んで処置(末梢確保・挿管・体位作成)。
末梢とれずやや時間を要す。挿管スムーズ。
13時43分、オペ開始。(術者・内科主治医Dr.A 助手・外科Dr.S ・外科Dr.F)スムーズに終了。
14時18分、オペ終了。腹部の創(*肝切除の傷で盛り上がっていたところ)切除し、ガーゼ保護。吸引・抜管。分泌物少なめ。自発呼吸スムーズに出現。時々体動するが未覚醒。しだいに覚醒し、はっきりしてくる。
14時35分、退室。

○爽母
3時前に終了した時はすでに麻酔から覚めていたが、病室に戻ってまた眠る。
5時前に起きてポカリを少し飲み、その後夕食。パン1枚半・ギョーザ(少)・牛乳。
まだ少し眠いのか、あまり機嫌はよくないが、ひとまず安心。
明日、血液検査で炎症反応がなければ水の点滴を始め、あさってから第2回の治療を始めるとのこと。

[看護記録]
14時45分、覚醒しストレッチャーに座って帰ってくる。
15時5分、IVH赤ルート(*今度は赤と白の2本のカテーテル)つなぐ。
夕方室温高く、やや体熱感あり。夕食は主食よくすすむ。パン1枚半。機嫌まずまず。
19時すぎ、IVHテガダーム内に出血みられ、にじんでおり、エラスチコン(*テープの名前)もはがれているので包交してもらう。
その後刺入部からの出血はなし。頸部ガーゼ汚染なし。
見ようとすると、「イヤー!おわりーっ」と言うもいじったりすることなし。
[使用薬剤]                                               
・抗生剤(カルベニン・スルペラゾン・SP)             ・GOS(*麻酔)
・アタピーシロップ 10r(*鎮静剤)                  ・ST1 ・ST3

[食事]      
○朝食        禁食
○昼食        禁食
○夕食        パン1枚半
○おやつ     牛乳

○爽母
朝、下の子は1人で寝返りをうつ。暑かったのと昨晩おふろに入らなかったせいか、少しポツポツが出る。
夜、あやすと大きな声で応える。