10    1999.8/21-9.3 (入院130日目 〜 入院143日目)


★ ちょっと寄り道(9) タクシー貧乏
小児がんの場合、『小児慢性特定疾患』という国でやっている補助を受けられますので保険診療分の医療費は自己負担がありません。
けれども長期の入院は様々な出費が多く、なかなか大変でした。爽の病院は24時間付き添いではないので『補助ベッド代』などの出費はありませんでしたが、入院中も外泊が多かったので、タクシー代がべらぼうにかかりました。

うちは車だと病院まで約15分ですが、公共の交通機関を使うと大きく迂回するルートしかなく、小1時間かかってしまいます。治療の性質上感染症はとても怖いですし、私は運転免許を持っていません。さらにタクシーでの往復をあきらめなくてはならないほど遠くもなく、『微妙に遠い』状況でしたので、子供の体力の消耗や感染の危険を考えるとどうしてもタクシーでの往復にならざるを得ませんでした。車を呼んで片道多くても2000円は超えない。帰りは病院の前から乗車するので1300円くらい。で、翌年の医療費控除のための計算をしたら、何と
『27万円超!』
でした。
これでも爽の病院は公立のこども病院でしたから個室料や差額ベッド代などはかかりませんでしたし、補助ベッド代もありませんでしたが、大学病院などではこうしたお金がかなりかかるそうです。これで手術代を含めた医療費を払わなくてはならなかったとしたら、全ての貯金をはたいても払えなかったでしょうし、かなりの借金をしなくてはならなかったと思います。小児慢性特定疾患と乳児医療証があったので助かりました。

『小児慢性特定疾患』という公費負担がなかった頃は小児がん自体もまだ『まず治らない病気』であり、そういう治らない病気になった我が子のために全財産を使い果たす親がたくさんいたそうです。また、親の所得によってはよく効くと分かっていても高い薬を治療に使うことが出来ないこともあったそうです。そしてこの『小児慢性特定疾患』の公費負担は、そうやって子供を失った親御さんたちが「親の所得に関係なく子供たちが最善の治療が受けられるように」と頑張って長いこと運動をしてようやく出来た制度です。
タクシー貧乏は退院してからの通院でも相変わらずですが、往時の親御さんたちの気持ちを思えば贅沢な不満なんだろうと思います。

1999.8.21(土) こども医療センター入院 130日目 外泊

[状態]
骨髄抑制

○爽母
Dr.Aより電話があり、骨髄採取が25日(水)の10時からに決定したとのこと。

下の子はハイハイとおすわりが上手になり、すぐ爽のところへ行って遊んでもらいたがるが、爽は1人で遊びたいらしく、うるさがって頭突きをする。下の子、大泣きするがしばらくして反撃し、爽が泣かされる。引き分け。

[外泊記録]  (*外泊時の食事内容・投薬・様子、気になったことなどを記録して帰院のたびに提出する)
爽の偏食、もともとひどかったが、最近さらに悪化。あれこれ手を変え品を変え作って食べさせようとするが全くだめ。
以前は好きだったものまで食べなくなり、こちらも「食べさせる」ことが苦痛。
最近の傾向は舌触りのいいもの・ノド越しのよいものばかり食べ、少しでもざらつきがあると食べない。
(*「もう、何を作れば食べてくれるの!?」という感じで食事を作ることに煮詰まっていた頃です。)

[食事]
○朝食        ラーメン・ヨーグルト1個・チーズ1枚・お茶
○昼食        ヨーグルト2個・チーズ1枚半・お茶
○夕食        お茶漬け3/4杯・かにクリームコロッケ3/4個・ヨーグルト1個・チーズ1/2枚・お茶
○おやつ     アイスクリーム・オレンジジュース


1999.8.22(日) こども医療センター入院 131日目 外泊

[状態]
骨髄抑制

○爽母
午前中、実家父来る。夫と爽と実家父と3人でホンダに乗り少しドライブする。
(*骨髄抑制中なので外泊していても人の多いところへは連れていかれず、近所の公園も他の子どもたちがいると帰らなくてはならないので、車好きの爽にとっては車から降りずに走り回るだけのドライブでもすごく楽しそうですした。)

○爽父
爽が先日から「ホンダ乗る!」を連呼しているので、2人で乗せてもらい東戸塚まで行く。
帰りは少しうつらうつらして寝てしまった。
車に乗ったので「ホンダ乗った」と、うれしそう。夕方、近所まで散歩に連れて行く。

[食事]
○朝食        ふりかけごはん1/2杯・ヨーグルト1個・チーズ1枚・マヨネーズ・お茶
○昼食        焼きそば・お茶
○夕食      ごはん1/2杯・チーズ1枚・お茶


1999.8.23(月) こども医療センター入院 132日目 帰院

AFP       14(↑)

[状態]
身長86p ・ 体重11.1s

[処置]
マルク(*骨髄穿刺) ・ 採血 ・ 蓄尿(24時間)

[採血結果]
好中球        828           血小板        27万3000
白血球        3600         ヘモグロビン   8.6
骨髄           8万3500 (正常は20万)

○爽母
10時半から骨髄検査。麻酔がなかなか効かず、大暴れする。
腰の腸骨(*腰骨のところ)から注射針で採取。25日に本格的な骨髄採取が出来るかどうかを調べる。処置後眠る。
4時半頃、夫と一緒にDr.Aから骨髄採取についての説明を受ける。200mlを腸骨から採取するとのこと。

[医師カルテ]
(*骨髄)少なめだが、これ以上待っても原疾患の治療遅れてしまうので水曜日に採取。

[骨髄採取についての説明] Dr.Aより両親へ 

【現在までの説明】
肝芽腫。進行度4まであるうちの3。
悪いところはオペで取り切れたが、破れていたため飛び散っている。また血管に入り込んでいたため、強い治療した。
現在4クール(*4回)終了し、AFP今日の結果で13。だいたい20前後で横ばいになっている。
AFPが横ばいになっている原因としては、微小な細胞(*ガン細胞)が残っている可能性と、再生してきている肝からAFPが出ている可能性がある。ただAFPの急激な上昇はないので、悪い細胞が増えているとは思えない。
AFPは敏感に上昇するので、再発の時は早く分ると思う。

超大量化学療法した場合、骨髄機能がゼロになってしまうので、骨髄移植が必要。
肝芽腫に移植が効果あるかどうかはよく分かっていないが(*症例数少ないので)、いつか爽ちゃんに超大量化学療法が必要となった時のために、今のきれいな骨髄採っておいた方がいい。シスプラチン(*爽が使っている抗がん剤)は蓄積性あり、骨髄の回復悪くなるので、今イキのいいのを採っておいたほうがいい。
骨髄は200mlくらい採る。何回も(*針を)刺すことになる。全身麻酔で採る。輸血は必要になると思う。
骨髄は半永久的に凍結保存できるが、成長していくと、量的には足りなくなる。

[看護記録]
10時、帰院。ST3(*維持の点滴)接続10時10分、ソセゴン・アタP・生食を30分点滴して鎮静。
10時45分、マルク(*骨髄穿刺)、セルシン(*麻酔)投与。14時30分、覚醒。16時30分、両親へムンテラ(*説明)
いろいろな言葉をしゃべろうとしている。ナースの言ったことも繰り返している。
両親帰った後、「かんごふさーん」と何回か呼んでくる。21時、入眠。
日中からずっと尿量少なく、21時の時点でも少ない。Dr.Aにコールし、輸液続行ST3。

[骨髄血検査結果]
有核細胞数 8万3500
細胞密度     正
脂肪滴        正
Normocelluler Bone Marrow(*正常細胞の骨髄)
各細胞とも分化・分布・形態に問題ない良好な骨髄と思われます。標本2枚観察しましたが、明らかな異常細胞は認めません。

[使用薬剤]
・ソセゴン(*麻酔) 5r                 ・ST3
・アタP(*鎮静剤) 100r            ・セルシン(*麻酔)

[食事]
○朝食        そば1杯・ヨーグルト1個・チーズ1枚・お茶
○おやつ     ヨーグルト1個
○夕食        マヨネーズかけごはん
○おやつ     クッキー2枚・オレンジジュース

○爽母
茨城の母、今日来る。


1999.8.24(火) こども医療センター入院 133日目 

[状態]
夜、一時発熱

[処置]
心電図 ・ レントゲン ・ 蓄尿(16時終了) ・ 包交 ・ フィルター交換

○爽母 
午前中心電図、午後レントゲンを撮る。
心電図は大騒ぎしたらしく、撮ってくれた先生もうんざりしかかったらしいが、終わったとたん、「ペタペタ好き」「がんばった」と言って大受けしたとのこと。午後は久しぶりにプレイルームで遊び、廊下を駆け回る。
明日のマルクについて、麻酔医と外科看護婦さんの面接。明日の骨髄採取は8時からに決定する。
(*以前にも書きましたが、爽は予後の悪いタイプでAFPも下がり止まっている状態が続いたので、再発した時のために骨髄を採って凍結保存することになりました。現在肝芽腫で移植をする場合は『骨髄移植』よりも『造血幹細胞移植』のほうが多いので、わざわざ骨髄を採って保存しておくことはたぶんないのではないかと思いますが、当時の爽の場合はこのようにしました。)

[看護記録]
9時10分、入浴・洗髪・陰洗。おしゃべりさかんで歌をうたったりしている。機嫌よい。
10時、心エコー。13時50分、レントゲン。レントゲンや尿パック貼りなど泣くが、抵抗はあまりせず協力的。
16時、蓄尿終了。注意しても走り回ったり車のおもちゃに乗って動きさかん。ご機嫌ですごす。
面会終了時大泣きするが、ビデオをつけ落ち着き、すぐに入眠する。微熱あるも入眠後自然に36度台へ。

[食事]
○おやつ     オレンジジュース
○夕食        チーズ1枚
○おやつ     カスタードケーキ・麦茶

○爽母
下の子、朝皆が梨を食べているのをみて欲しがり、泣きべそをかく。2切れすりおろして食べる。少しだけつかまり立ちらしきことをする。


1999.8.25(水) こども医療センター入院 134日目 骨髄採取 
AFP       13(↓)

[状態]
微熱

[処置]
骨髄採取(8〜10時) ・ 採血 ・ 水の点滴

[採血結果]
好中球        6643(*術後で高め)   ヘモグロビン   12
白血球        9100                           血小板        19万

[術前看護記録]
午前1時25分、麦茶飲む(少し)。朝の分の薬内服させる。
起きてしまい、「抱っこー」「テレビ見るー」というが30分程1人遊びして入眠。
6時検温。6時30分、前投薬アタラックスPシロップ10r(*鎮静剤)。「いやーっ」と抵抗示すため、タオルケットにくるんで内服させる。
内服スムーズ。内服後「きれい、きれいする」と。内服後は再びベッドで横になる。7時50分、出棟。

○爽母
7時25分、病院着。7時45分頃看護婦さんが血圧を測りにきてようやく目覚める。
すぐに水色の手術着に着替えさせられ、ストレッチャーに座って手術室へ行く。7時55分頃、手術室の入り口で
「おかあしゃん」
と言ってストレッチャーの上に立ち上がる。
(*爽はいつも麻酔がなかなか効かず、追加して眠らせると今度はなかなか起きないというタイプでした。この時も眠くなる薬をすでに飲んだ状態で立ち上がったので、ヒヤリとしました。)

[手術室看護記録]
入室。母子分離後より泣き始める。全身皮膚かさつき(+)。ベッドに移ること泣いて嫌がる。
末梢確保、2度目でOK。挿管スムーズ。体位作成(腹臥位)、オペ開始。
医師→T先生(*協力医の)・Dr.I ・ Dr.A(*主治医)
9時20分、輸血開始。MAP(*濃厚赤血球)200ml。骨髄採取。ガーゼで圧迫止血し、さらにテープで圧迫気味に固定。
9時45分、輸血追加。大腿部イソジン焼け(+)、前胸部圧迫痕(+。)吸引は鼻腔より少量、気管内ごく少量。抜管。
自発呼吸スムーズ。抜管後すぐに体動あり。ストレッチャーへ移ると座りだし、開眼。
10時10分、回復室。会話可能、意識しっかりしている。甘えて抱っこですごす。エア入り良好。
10時30分、退室。末梢嫌がって、「取るの」と訴えている。

手術時間     1時間18分
麻酔時間     2時間15分

○爽母
10時20分頃Dr.A出てきて、すでに採取を終り回復室にいること、問題はないことなどの報告をしてくれる。10時3分頃手術室を出てくる。
目覚めていたが、病室(412号室)に戻るとまた眠る。

[看護記録]
10時40分、帰室。覚醒してはいるが、ボーッとした感じで「タクシー乗る」「おっきする」など言う。
採取部ガーゼ旧血栓、新鮮血両方の汚染あるが、痛みは訴えず。顔色は白っぽい。
10時50分、末梢ST3抜去し、IVH赤ルートにST1接続。11時、入眠。
(午後)左腰部のガーゼ上層まで新鮮血汚染あり。穿刺部位見ると、じわじわ出血続いている。ドクターコールするが、汚染広がらないか見て欲しい、と。14時、Dr.A来棟。包交し、再度圧迫し直す。

○爽母
午後3時すぎ目覚めるが、まだぼんやり。腰の出血が完全に止まらず、2回ほどDr.A見に来る。
4時にウーロン茶を飲み、その後チーズ2枚と乳飲料350tを摂取。夕食はごはんのみ。
7時より第5回抗がん剤投与のための前処置として水の点滴を開始。
この日から『幼児後期食』にしてもらう。(*後期食だとうどんではなくラーメンが出るのと、ごはんの量も多くなるので)

[看護記録]
15時40分、ドクター来棟し、水分摂れればチーズ食べてよいと。ウーロン茶飲むこと出来、むせずにチーズ食べられる。「おいしい」と。
穿刺部ガーゼ汚染あるが、出血は少量になってきている。
午後微熱あるが、かぜ症状なし。母に抱っこされてすごす。
ナースが行くと、「かんごふしゃん、バイバイ」と言って怒る。←(@_@;)
(夕方も)熱37度台。感染症状か、全麻(*全身麻酔)のためか、熱型観察していく。
相手すると笑顔も見られるが、母帰ってからは「かんごふしゃん、バイバイ」と、一人で遊び入眠する。
19時からハイドレーション(*水の点滴)

[使用薬剤]
・アタラックスPシロップ(*鎮静剤) 10r          ・マーカイン(*麻酔) 10ml
・コーダル 0.25%(*麻酔)                     ・ST3  ・ST2  ・ST1
・MAP(*濃厚赤血球) 2U 輸血               ・コンクライトMg(*鎮座剤) 5ml

[食事]
○朝食        検査のため無し
○昼食        禁食
○おやつ     ローリー・チーズ・ジョア
○夕食        ごはんのみ
○おやつ     カステラ(少)・ジュース(少)

1999.8.26(木) こども医療センター入院 135日目 第5回抗がん剤投与開始

[状態]
微熱

[処置]
シスプラチン投与 ・ 採血

[採血結果]
好中球        2803         ヘモグロビン     11.1
白血球        5200          血小板         18万

[看護記録]
10時、カイトリル (*制吐剤)30分間で投与。11時20分、ブリプラチン (*抗がん剤シスプラチンの商品名)開始。
今のところ食欲あり。嘔気嘔吐なし。活気あってベッド下に下りて遊びたがる。やや微熱傾向。

○爽母
午後2時に面会に行くと、婦長さんに遊んでもらっていた。今日の看護婦さんはR子さんなので、機嫌がいい。
(*怖い看護師さんでも2才児なりに気を使って「きらい!」みたいな態度は取りませんでしたが、やっぱり優しい看護師さんだとうれしいんですね。こちらも子供が精神的にリラックスしているとほっとしました。)
昨日の骨髄採取のあとは何もしなければ痛みもなさそうだが、オムツ替えで手が触れると痛がる。
看護婦さんの話では、子供は痛みに強いらしい。大人が骨髄採取すると、数日間起き上がれない人もいるという。
夕食後、少量嘔吐。

[看護記録]
(夕方の)おやつは食べたくないと水分だけ摂取。
母帰る時大泣きしているが、その後はビデオ見たり、時々ナース呼んだりしている。22時、カイトリル投与。

[食事]
○おやつ     プリン・飲むヨーグルト
○夕食        ごはん1杯半・チーズ・お茶200t
○おやつ     ジュース

○爽母
朝、下の子は私につかまってから一人でつかまり立ちをする。
夕食時、泣いてほしがるのでみそ汁のなすとかぼちゃを食べさせる。


1999.8.27(金) こども医療センター入院 136日目 第5回抗がん剤投与2日目 

[状態]
吐き気 ・ 嘔吐

[処置]
シスプラチン投与(昨日の続き) ・ ピラルビシン(*THPーADRのこと。抗がん剤)投与 ・   包交 ・ フィルター交換

[看護記録]
午前4時、尿もれのため更衣。(*ハイドレーションと言って水の点滴を大量に入れながら投与するので、尿量も多くなり、オムツからあふれてしまうことがしばしばありました。)
6時、起床。覚醒してから少し鼻汁あり。食前の予薬で少し気分が悪くなり嘔気出るが、嘔吐にはいたらず。
食欲まずまず、おしゃべりさかんで活気あり。
昼食、好きなものは食べれている。気分ムラあるが、相手していると機嫌よい。少し倦怠感ある様子。
11時30分、ブリプラチン(*抗がん剤シスプラチンの商品名)終了。11時45分、カイトリル (*制吐剤)投与。
12時30分、ピノルビン (*抗がん剤ピラルビシン)開始。
(夕食後)嘔吐多量に見られたが、その後も機嫌はよくおしゃべり多い。
18時30分、祖父面会。母帰る時泣くが、すぐに泣きやみ、一人で遊ぶ。機嫌よく歌を歌う。

[食事]
○おやつ     食べず、飲まず
○夕食       ごはん2くち・チーズ
○おやつ     ジョア

○爽母
義母、茨城に帰る。


1999.8.28(土) こども医療センター入院 137日目 第5回抗がん剤投与3日目

 爽2才8ヶ月 

[状態]
嘔吐

[処置]
ピラルビシン投与

[看護記録]
午前1時半、更衣。3時半更衣。6時30分、起床。機嫌よく、「ごはん食べる」と言いながら食堂へ来る。
「自分で食べる」と言い、ごはん食べ始めるが、突然嘔吐。
その後も「もっと食べる」と食べ始め、またしばらくして嘔吐。食事やめる。軽度の嘔気ある様子。
昼食はほとんど手をつけていないが、おやつのアイスやジュースなど好きなものは摂取出来る。
12時30分、カイトリル (*制吐剤)投与。
「くつはくー」「ホンダアコード乗るー」とベッドから出たがるが、少し抱っこで病棟回るだけで納得し、ベッドに戻れる。オムツ交換など自分でやりたがる。
(夕食時)マヨネーズかけごはんを3/4ほど食べてから嘔吐あり。嘔吐後「ごはんー」と、まだ食べたがる。
微熱あったが入眠している間に解熱する。20時、入眠。

○爽母
元気はあるが、夕食を食べて全部吐く。
オムツの交換が遅いらしく、衣服が全部もれて着替えが1枚もなくなり、今日洗濯したものを夫が家に取りに帰る。

○爽父
今日は6人部屋に2人だけ。吐いた後、「シューッと出ちゃった」と言っている。

[使用薬剤]
・ピノルビン (*ピラルビシン) 15r                   ・カイトリル 0.45ml
・ST2

[食事]
○おやつ     アイス・ジョア
○おやつ     サッポロポテト


1999.8.29(日) こども医療センター入院 138日目 第5回抗がん剤投与4日目

[状態]
嘔吐 ・ 微熱

[処置]
ピラルビシン投与(*昨日からの分)

○爽母
夕食後、少し吐く。元気はあり。おやつは乳飲料のみ。
(*とにかく吐いても元気がとりえでした。親としてはそれで救われた部分も多いと思います。)

[看護記録]
夜間オムツ交換時に目を開け、ナース呼ぶがすぐに再入眠。
7時30分、朝食。食欲はあまりないよう。おしゃべりはしている。
内服は嫌がり、一人押えてもう一人が口へ入れる。口の中に入ると飲み込める。微熱あったが、自然に解熱。
12時45分、ピノルビン(*ピラルビシン。抗がん剤)終了。
ベッド上散らかして遊ぶ。片付けるよう促すとおもちゃを並べたりする。
18時、夕食後少量嘔吐あるが、他はなし。活気はあり。


1999.8.30(月) こども医療センター入院 139日目 外泊

AFP       20(↑)

[状態]
骨髄抑制 ・ 肝機能障害 ・ 食欲低下 ・ 吐き気 ・ 体重11.0s

[処置]
採血 ・ 包交 ・ フィルター交換

[採血結果]
GOT          106              好中球      1080
GPT          77                血小板      17万
白血球       2700            ヘモグロビン  11.5

[医師カルテ]
点滴取れたとたん、廊下走り回ってじっとしていない。
肝機能障害。いつもCDDP+THPーADR(*抗がん剤投与)直後にアップ

[看護記録]
7時半、朝食。嘔吐ないが、薬を口に入れた時嘔気あり。食事はまずまず食べられている。
9時30分、IVH包交、ロック。(*点滴を取ったという意味)
活気大。昼は外泊決まり、食事どころではないようで食べず。
外泊出る前、はしゃいで廊下で転倒。右前頭部母のいるところで打ったが、痛み腫れなし。ドクターその場にいて、「プレート(*血小板)充分あるので問題ない」とのこと。外泊行く直前、何となく腫脹っぽさもあるが、ドクター「家で冷えピタでも貼って下さい」と。

○爽母
11時にDr.Aより電話あり、外泊できるとのこと。すぐ迎えに行き、12時半帰宅。食欲なく、ヨーグルトのみ食べる。3時から5時まで昼寝。

[食事]
○朝食        ごはん2/3杯・みそ汁2/3
○昼食        食べず
○おやつ     ヨーグルト2個
○夕食        マヨネーズかけごはん1杯半・お茶200t

○爽母
爽に作ったワンタンひとくちも食べず。
テーブルの上の食べ物を見て下の子が欲しがり、味を薄めたワンタンをあげると全部食べてしまった。


1999.8.31(火) こども医療センター入院 140日目外泊  

[状態]
骨髄抑制 ・ 肝機能障害 ・ 吐き気

○爽母
食欲、相変わらずなし。朝食時、少し吐き気あるが吐くには至らず。
爽がヨーグルト食べているのを見て下の子がほしがるため1/4ほど与える。
昼寝なし。午後3時頃、散歩に行くが、途中でぐずりてこずる。帰宅後すぐに入浴。洗髪。
『どんぐりころころ』を唄えるようになる。

[食事]
○朝食        ごはん2、3口、マヨネーズ、ヨーグルト1個
○昼食        ラーメン1/2杯・乳飲料・お茶
○夕食        冷やしうどん・豆腐(たくさん食べる)
○おやつ     ベビーラーメン・お茶・水

○爽母
下の子は煮込みうどんをペロリとたいらげ、人の分まで欲しがる。


1999.9.1(水) こども医療センター入院 141日目 帰院のち外泊

AFP       21(↑)

[状態]
肝機能障害

[処置]
心臓エコー検査 ・ 採血 ・ 包交

[採血結果]
GOT          58               ヘモグロビン   11.1
GPT          53               血小板        14万3000
好中球       1419           白血球        3300

○爽母
午後4時20分から5時まで心臓のエコー(*ピラルビシンに心筋障害の副作用があるため)。Dr.O施行。特に問題はないとのこと。その後麻酔のためというよりも遊び疲れて眠る。
Mちゃん(*チーズの好きな白血病の女の子。8月の終わりから敗血症を起こしICUに入っていました。)のお母さんと会う。
ICUにいること、熱の原因が判り(*サイトメガロウィルスに感染)抗生剤も効いているとのことで、安心する。

[看護記録]
13時、帰棟。本日心エコーのため昼寝禁(*麻酔の効きをよくするため)。母を連れ回し活気大。プレイルームで遊ぶ。
15時40分、トリクロ(*鎮静剤)10ml飲むが、全量吐いてエスクレ2個入れる。15時58分、入眠。
16時30分、心エコーへ。16時45分、帰室。よく眠っているが、目など触れると払いのける。生理的睡眠に入っている。
18時20分、覚醒。起きてややよっぱらいのようにフラフラするも、「おうち帰るー」「タクシー」と言う。
18時30分、外泊へ。
(*経験した方なら『そうそう!』と思うでしょうが、幼児を検査などのために最低限の麻酔で眠らせるためには親の『努力・体力・忍耐力』の三拍子が必要です。特に麻酔との相性がとても悪かった爽は『泥酔状態』がだらだらと続き、その間ず〜っと抱っこなので検査が終わると、『爽私もお疲れ様でした。』というのが常でした。)

[食事]
○朝食        ごまうどん1/2杯・ヨーグルト2個・水
○昼食       禁食
○夕食        ごま冷やしそば1杯・ウィンナー1/2本・ヨーグルト2個・乳飲料・水

○爽母
下の子は食いしん坊で、人が食べているところを見ると、テーブルに突進してつかまり立ちし、欲しいと言って泣く。


1999.9.2(木) こども医療センター入院 142日目 外泊

[状態]
肝機能障害

○爽母
食欲ないが、元気はある。無理に食べさせると吐き気が増す様子。うどん・そばなどノド越しのよいものは少し食べる。
ヨーグルトが一番食べやすいらしく、もっぱらヨーグルトを食べている。
(*別に無理やり口に入れるわけではないのですが、『ほら、食べな食べな』とへんに勧めて食べさせるとしばらくして吐きそうになっていました。)
[食事]
○朝食        ヨーグルト1個・冷やしごまうどん
○おやつ      ベビーラーメン・お茶
○昼食        ラーメン・お茶
○夕食      ヨーグルト2個


1999.9.3(金) こども医療センター入院 143日目 帰院のち外泊

AFP       24(↑)
(*AFPが3連続で上がっているうえに爽が肝機能障害で食欲はないし元気も今ひとつで、何ともいえない気分だった頃です。)

[状態]
骨髄抑制 ・ 肝機能障害 ・ 食欲不振

[処置]
採血 ・ 包交 ・ フィルター交換

[採血結果]
好中球        900                   白血球        2500
GOT          80                    GPT           50

[看護記録]
10時、帰院。11時30分、採血結果OK。12時、外泊へ。

[食事]
○朝食        ヨーグルト2個
○昼食        ヨーグルト2個・お茶
○おやつ     ベビーラーメン(少)・乳飲料50t
○夕食        冷やしごま入りそば1/2杯・ヨーグルト1個・アイスクリーム3くち・水200t