17  1999.12.4-12.18  (入院235日目〜249日目)

★ ちょっと寄り道(16) コブの出来具合
骨髄抑制中に頭をぶつけた時の『コブの出来具合』についてお話しします。
普通のコブと違う何か特別なコブになるわけではありませんが、何しろ「ぶつけた強さから想像出来る2倍の大きさになる」のが第一の特徴。第二の特徴は、「コブがふくらむまでの時間がとても短い」。つまり、「大して強くぶつけてもいないのに、あっという間にすごいコブになる」のが骨髄抑制中のコブです。
まあ血が止まりにくい状態なわけですから当然と言えば当然なんですが、看護師さんの中には、「こんなにひどいコブが出来るような危険な状態を放置して・・・」みたいなニュアンスで母を責める人もいたりして、すぐに頭をぶつけてコブを作ってしまう爽を心配する気持ちとは別のところでちょっと釈然としない思いはありました。

元気な時にはコブを作ることに多少の心配はあっても、「まあコブ作るくらい元気ならそれでよいかも・・」ですみますし、逆にコブを作らないように注意を払いすぎれば何だか『非常に神経質な母親』という風に思われてしまいます。
元気だった時と小児がんの治療でいろいろなことに注意しなければならない時と、さらに治療が終わって社会生活に復帰した時と、それぞれに親としての危険に対する感覚をギアチェンジしていかなくてはならないのはなかなか難しく、げんに今でもそのことで悩むことは少なくありません。今は化学療法は終了していますし、医学的には『普通に生活してください』と言われる状態ですが、普通に生活していて大丈夫だったはずの2年前に頭をぶつけたわけでもなく、猛暑のせいくらいしか直接的な原因が思い浮かばない頭蓋内出血をし、現在も血腫が残っていて再びその周辺が切れることがあるかもという状態では、爽がやりたがっている空手もサッカーも「やっていいよ」と言うにはどうしても怖いのです。かと言って「あれも危ない、これも危ない」ではこどものやる気と可能性をどんどん摘み取ってしまいます。
どこで線を引くか・・・。
常に確信のないまま子育てをしています。(2006.6.27)

余談ですが、小児がんをやっているお医者さんが「これからは普通に生活して大丈夫ですよ」と言う時の『普通』ってどの程度だと思っているのでしょうか。うちの爽に限らず他の小児がんの子のママたちともよく話すんですが、「先生は『普通でいい』って言うんだけれど、普通にすると必ず体調崩すんだよね・・・。先生たちって普通の元気なこどもの体力がどのくらいあるのか分かっていないのかも・・・」。
これまで『普通』を意識しすぎて結果的にこどもに無理を強いてしまい、何度も体調を崩させてしまった失敗経験から学んだことは、『普通よりちょい下だったら上々』くらいの気持ちでやるとちょうどいいってことです。ま、それでもまだ失敗して熱出させてしまうことはあるので・・・本当に難しいです。

1999.12.5(日) こども医療センター入院 236日目 外泊のち帰院 

[状態]
肝機能障害 ・ 骨髄抑制 ・ 
頭部打撲

[処置]
血小板輸血 ・ CT(頭部)

○爽母
外泊中だったが、午後6時すぎにテーブルに頭をぶつけコブを作ったため、病院に連絡。すぐに来るようにとのことで、タクシーで帰院する。
すぐに採血したが、血小板2万3000しかないため、ただちに止血剤を点滴、頭部CTと血小板輸血を開始する。
一応異常はないが、徐々に脳内出血を起こす場合もあるので24時間経過観察となる。

[看護記録]
19時30分、帰院。嘔気(−)意識明瞭。20時5分、CTへ(当直医遺伝科医師)。
頭部CTにて明らかな出血は認めず。血小板下がってきている時の打撲のため今後も出血症状注意必要。
20時30分、帰室。21時、ポララミン2r、ソルコーテフ100r(副腎皮質ホルモン)投与。血小板10U(*10単位)輸血開始。
22時、母帰る。23時10分、母より電話。状態変わらないこと伝える。血小板輸血中、副作用出現なし。

[頭部CT検査結果]
頭蓋内に出血や挫傷を示唆する所見を認めない。骨折線は明らかでない。

[医師カルテ]
22時。内出血少し膨隆。あまり詳しくぶつけた時の状況話していないよう。
いつもはしょっちゅうぶつけても連絡ないのに帰棟してきたということは、相当ぶつけたのか? 
本人は走って帰って来たと言う。母に危険の認識あまりないのでは? 今度強く言っておこう。

(*帰棟したのは、当時血小板恐らく2万くらいしかないだろうと考えたためです。血小板が充分あるときは少々ぶつけても問題ないので特に連絡もしませんでした。また、病棟内に走って帰って来たのは、それまでぶつけたら歩かせないようにと言われたことがなかったため知らなかったのです。危険の認識については相応にありましたが、家の中では病院のように危ないからと柵の高いベッドに閉じ込めておくことは不可能ですし、一部屋に閉じ込めておくわけにもいきません。なおかつ当時は歩き始めたばかりの下の子もおり、爽の転倒だけに気をつけているわけにはいきませんでした。そのほかにも家事や電話応対(つまらないセールスがほとんど)など、目が離れてしまう瞬間はいくらでもあり、転ぶのは1秒あれば充分です。さらに当時は気づきませんでしたが、今思えば治療中は極度の貧血状態なわけで、爽は他の子のようにぐったりすることはあまりなく走れるくらい元気でしたが、やはり退院後はめったに頭部をぶつけることがなくなったことを考えると、貧血のためふらつくことが多かったのではないかと思います。親も看護師さんも医師も、爽があまりにも元気なためそこに気づかなかったのではないかと思います。)

[使用薬剤]
・ネンブタール  1 ml                    ・ソルコーテフ 100r
・ポララミン 2r                           ・ST3

[食事]
○朝食        かき玉うどん・お茶50t・ヨーグルト
○昼食        パン・ハム3枚・お茶50t
○おやつ      ヨーグルト
○夕食      スモークチキン・シャケごはん1杯半・お茶


1999.12.6(月) こども医療センター入院 237日目 Bランク  

AFP 13(↓)

[状態]
骨髄抑制 ・ 発熱38度1分 ・ ふらつき

[処置]
血小板輸血 ・ 止血剤(アドナ・トランサミン)投与 ・ 採血

[採血結果]
好中球        210                             白血球        700
ヘモグロビン   8.5                              血小板    15万3000
GOT           48                               GPT           58

[医師カルテ]
内出血部、本人「痛くない」と。会話も普通で元気。頭蓋内出血ということはないだろう → 外泊へ。
(その後)立位とって歩かせると多少フラフラ。よろけるように歩いているので外泊中止。
今日はobservation (*経過観察) →続くようなら頭部CT。

[看護記録]
0時20分、血小板輸血終了。止血剤(アドナ1/2A・トランサミン1/2A)30分点滴。
昨日の鎮静の影響か、7時30分与薬で起こすが、座位保持出来ず、抱っこにて与薬する。
名前を呼ぶと返事もあり、「ピングー見る」などの言葉もあり、与薬後再入眠する。朝食はあげず。
9時10分、母よりTELあり。状態変化ないことを伝える。
午前中より37度台あり。体熱感あり。頬部紅潮あり。肺音クリアだが、鼻閉あり。
午後より38度に上昇する。氷枕使用して37度7分まで解熱する。本日好中球200くらいでBランクへ。
おしゃべりはいつものように出来るが、ややろれつが回っていない印象を受ける。午前中、立位、歩行時ふらつき著明。
午後は改善するもなんとなくまだふらつき残る。
面会終了スムーズ。笑顔でバイバイ。活気あり。ベッド柵によじ登ろうとしたり、行動活発。
21時30分頃までなかなか入眠しようとせず。

[食事]
○朝食        食べず
○昼食        ごはん2/3杯
○おやつ      りんごジュース
○夕食        ごはん2杯


1999.12.7(火) こども医療センター入院 238日目 外泊  

[状態]
骨髄抑制 ・ 微熱 ・ 肝機能障害

[看護記録]
6時30分、起床。微熱あるも体熱感なし。
元気に外泊へ。

○爽母
経過よかったため外泊。しまじろうの粘土で遊ぶ。

[食事]
○朝食        ごはん1/4
○昼食        パン・ハム・みたらし団子・お茶
○夕食     ドリア・とりの和風焼き2個・お茶


1999.12.8(水) こども医療センター入院 239日目  外泊  

[状態]
骨髄抑制 ・ 肝機能障害 ・ 下痢 ・ 吐き気

○爽母
朝、下痢。便の出る前、背中とお尻が痛いと言う。
吐き気を訴えるが嘔吐はなし。
夕食時、再び吐き気を訴えるが嘔吐なし。
(*一時期、排便の時にこの「背中とお尻が痛い」と言っていたことがありました。主治医にも聞いてはみましたが、原因はよく分かりませんでした。粘膜障害があると腸の内側の粘膜がやられて排便の時に痛くなるということは聞いていたので、少しそういうことがあったのかと思いますが、背中の痛みはなんだったのでしょうか・・。今でもそうですが当時は特に「何だかわからないけど調子が悪い」という状態が親としてとても不安でした。)

[食事]
○朝食        キャベツと玉子のラーメン・みたらし団子1本・お茶100t
○昼食        クリームパン1/2個・お茶
○夕食      煮込みうどん・お茶


1999.12.9(木) こども医療センター入院 240日目 外泊  

[状態]
骨髄抑制 ・ 肝機能障害 ・ 倦怠感

○爽母
朝いったん起きるが、「疲れたの」と言ってごろごろする。その後元気になる。
(*骨髄抑制中は比較的元気な爽でしたが、肝機能障害はさすがにだるさや食欲不振を訴え、元気がなくなることが多かったです。)

[外泊記録]
せいいっぱい注意しているつもりだが頭をぶつける。これ以上どうすればいいのでしょうか。
現実的で具体的なよい方法があるなら教えてほしい。
(*いや本当に「どうすればいいの〜?誰でもいいから教えてほしい!」って切実に思っていました。でも外泊記録にあれこれ書いても解答やアドバイスがあったことは一度もありませんでした。)

[食事]
○朝食        マヨネーズごはん1杯・お茶
○昼食        ごはん1/3杯・コロッケ2個・お茶
○夕食        カレー3杯・お茶
○おやつ      ヨーグルト1個・カルピス


1999.12.10(金) こども医療センター入院 241日目  Bランク  

AFP 13(→)

[状態]
骨髄抑制 ・ 肝機能障害 ・ 微熱

[処置]
採血 ・ 包交 ・ フィルター交換

[採血結果]
好中球        66                               白血球        1100
ヘモグロビン   7.9                              GOT           85
血小板        4万7000                     GPT           67

○爽母
好中球100ないため外泊なし。

[看護記録]
9時40分、帰院。微熱37度6分。鼻閉感あり。
13時から15時までぐっすり昼寝。ナースの訪室に大泣きする。
19時20分、母帰る。バイバイも抱っこもしてもらうが、それでもまだ足りず、大泣き。
好きなビデオかけても「見る、見る」と意味判らず。30分くらい泣いた後、一人遊びしながらビデオ見る。

[食事]
○昼食        ごはん1杯・みそ汁
○おやつ     オレンジジュース
○夕食        ごはん
○おやつ       オレンジジュース


1999.12.11(土) こども医療センター入院 242日目 Bランク  

[状態]
骨髄抑制 ・ 肝機能障害 ・ 発熱38度

[看護記録]
午前5時、熱37度。午後より熱上昇。水様性鼻汁も量多い。
13時、38度0分。クーリングしやや低下するも体熱感続く。
かぜ症状続いており、骨髄抑制もまだ続いているため要注意!
一人部屋で淋しいのかナースに抱っこ求めてくること多い。
抱っこすると機嫌よくすごせる。
面会終了時泣くが、抱っこ求めてきて、本読みし、やっと21時頃入眠。

[食事]
○朝食        おかずのみ1/5
○昼食        ごはん1/5
○おやつ     アイスクリーム・飲むヨーグルト
○夕食        ごはん2杯
○おやつ     オレンジジュース

○爽母
下の子、さかんに歩く練習をする。


1999.12.12(日) こども医療センター入院 243日目 Bランク  

[状態]
骨髄抑制 ・ 肝機能障害 ・ 熱37度5分

[看護記録]
1時覚醒、「かんごふさーん」とコール頻回。添い寝、トントン、本読みでやっと寝る。
7時15分起床。なかなか起きられず。朝食は甘えて介助求めたりする。
午前中36度4分から37度5分で微熱続く。鼻汁著明。
「下におりる」と言い、くつをはかせて下におろすと、うれしそうに駆け回るが、ドアにぶつかったりするのはやめるように注意すると、今日は聞き分けよい。以前より抱っこ求めてくること多い。

[食事]
○朝食        マヨネーズかけごはん
○昼食        ごはん
○おやつ     オレンジジュース
○夕食        ごはん・ひれかつ(少)
○おやつ     オレンジジュース

○爽母
下の子、80p歩く。


1999.12.13(月) こども医療センター入院 244日目 Bランク  

AFP 9.8!(↓)

[状態]
骨髄抑制 ・ 肝機能障害 ・ 微熱

[処置]
採血

[採血結果]
好中球        224                           GOT         89
血小板        1万9000                    GPT          87
白血球        1400                         ヘモグロビン  7.9

○爽母
ついにAFP10を切る! (つまり正常値になったということ。)
(*4月16日に手術で肝切除をし、4月28日から化学療法を始めましたが、この日やっとAFPが正常値に入りました。本当に本当に長かったです。今思い返してもこの間は時間がスローモーションのように流れていた感じがします。)

[医師カルテ]
12月13日採血分のAFP9.8!
初めて10以下へ! 今回のコースはかなり進歩あり。

[看護記録]
(*午前)1時から3時まで浅眠でトロトロ起きてはコール。ビデオつけても眠れず、4時すぎに入眠。
午前中、37度台の微熱続く。鼻汁つねにズルズル垂らしている。
気に入らないとキーと大声出すが、他はニコニコしている。「抱っこ」「くつはく」「あっち行く!」の訴え多い。
夕方からも37度前後の微熱傾向続く。母との別れは握手でスムーズ。
なかなか眠れずにいるが、「待っててね」の声かけに素直に待っていられる。

[食事]
○昼食        ごはん
○おやつ     ジュース
○おやつ      オレンジジュース・ビスケット1枚


1999.12.14(火) こども医療センター入院 245日目 Bランクのち外泊  

[状態]
骨髄抑制 ・ 肝機能障害 ・ 微熱 ・ 体重12.23s

[処置]
血小板輸血 ・ 耳鼻科聴力検査

[看護記録]
午後より微熱傾向。肺音クリアーだが鼻汁目立つ。機嫌よくおもちゃで遊んでいる。
耳鼻科から帰室後は床におりたくて泣き叫ぶ。
12時45分、ポララミン2r内服。13時5分、血小板輸血(10単位)開始。副作用見られず。
耳鼻科受診のため一時中止。耳のほうは問題ないが、鼻閉のためノイチーム再開となる。
16時30分、輸血再開。18時20分終了。
18時30分、IVHロック。18時40分外泊へ。

[食事]
○朝食       みそ汁2くち
○おやつ     ジョア
○夕食     ごはん(少)・コロッケ1/4個・水


1999.12.15(水) こども医療センター入院 246日目 外泊  

[状態]
骨髄抑制 ・ 肝機能障害

[食事]
○朝食        ごはん1杯・コロッケ1個・お茶100t
○おやつ      チョコレート
○昼食        みたらし団子3本・お茶100t
○夕食      キャベツと玉子のラーメン・お茶50t


1999.12.16(木) こども医療センター入院 247日目 外泊  

[状態]
骨髄抑制 ・ 肝機能障害 ・ 吐き気

○爽母
夕食後、2時間ほど吐き気を訴える。
(*7回目以降の化学療法ではやはり肝機能の数値が高くなって、肝機能障害によるものと思われる症状が多く出ました。この日の吐き気もそのためだと思います。)

[食事]
○朝食        キャベツと玉子のラーメン・お茶50t
○おやつ     チョコレート
○昼食        ごはん・コロッケ1個半・お茶100t
○夕食        マヨネーズかけごはん2杯・豚モモ焼肉2くち・お茶50t
○おやつ       ポテトチップス


1999.12.17(金) こども医療センター入院 248日目 帰院のち外泊  

AFP 8.5(↓)

[状態]
骨髄抑制 ・ 肝機能障害 ・ 発熱37度7分 ・ 体重12.35s

[処置]
採血

[採血結果]
好中球        493                             GOT          48
白血球        1700                           GPT           43
血小板        12万6000                   ヘモグロビン   7.3

[看護記録]
10時帰院。元気に帰ってくる。熱37度7分あったが、採血の結果、再外泊へ。

[医師カルテ]
BM(*骨髄)まだ不十分。

[食事]
○朝食        キャベツと玉子のラーメン・お茶
○おやつ     おっとっと
○夕食     スパゲッティミートソース・お茶


1999.12.18(土) こども医療センター入院 249日目 外泊  

[状態]
骨髄抑制 ・ 肝機能障害

[食事]
○朝食        みたらし団子1本・ヨーグルト1個・お茶
○昼食        キャベツと玉子のラーメン1杯・お茶100t
○おやつ      みたらし団子1本
○夕食      カレー2皿・水50t
(*『みたらし団子』はけっこうカロリーがあります。ごはんよりはノドを通りやすかったみたいです。)