21    2000.1.30-2.12  (入院292日目 〜 305日目)


★ ちょっと寄り道(20) 小児病棟と個人情報
先月爽は『口蓋扁桃切除』のため、1年入院した病院に再び1週間入院しました。
7年前とは違い病棟も新しく、看護師さんたちも優しくなり、規則も緩くなり、面会時間も長くなり、食事も暖かいものと冷たいものがちゃんとそれなりの温度で出てくるようになり・・・ほとんど『隔世の感』といえるほど過ごしやすくなっていました。
ただ1つだけ気になったのが、『個人情報の扱い』。
これは本当に難しい問題だと思いますが、あえて書いてみたいと思います。
個人情報保護法が出来て以来、こども病院でも一時は病室前の名前の張り出しもいっさいなくなったのですが、さすがに今回は保護者の了解を取って張り出す方式になっていました。以前は大部屋にしろ2人部屋にしろ、部屋に1台のビデオをめぐっていろいろあった問題も各自のベッドサイドにあるDVD付テレビで解消されたようには見えました。
けど・・・何か違うような。いいんだけどどこか変なような。妙な感じがする理由を考えていてやっとその理由が分かりました。
「子供同士の交流が少ない」

うちが入院していた頃はベッドごとのカーテンがあったかどうかさえ今記憶にないほどベッドとベッドの間の「カーテンを閉める」ことはなく、病室を仕切るアクリルの窓についているカーテンもよほど体調の悪い子以外はあけっぱなしで3つ先の部屋の様子まで見えるような開放感がありました。親が仕事で来られない子でも別の親が自分の子のいる部屋から様子を見ることが出来、気になることがあれば親が来た時に教えてあげたり、窓越しに面会が来ていない子にいろいろサインを送ったり、Bランクで部屋から出られなくても他の部屋の様子が分かるので子供同士も隣の部屋の子と合図を送ったり・・・。
また各部屋に1台しかテレビがなくて、誰がどの番組を見るかでもめることもありましたが小さい子供たちはそれはそれで「順番に見る」ことを覚え、他の子が見ている番組やビデオや遊びを見ることで今まで自分では興味のなかったことに興味を示すようになったり、親がいない時にも子供同士でおもちゃの借りっこをしたり、いろんなことを覚えていっていたような気がします。
入院が1週間ではどうということはないでしょうが、小児がんのように長期間の入院を強いられる病気の子にとっては、「病気はしているけれど成長もしている」わけで、『個人情報保護』をあまり意識しすぎると逆に子供の社会性や成長が阻害されるのではないかと危惧します。大人の病棟での「個人情報保護・プライバシー」と子供のそれとを同列に考えてはいけないと個人的には思いました。

今回は1週間の入院でしたが、どの子も(正確にはどの親も・・なんですが)カーテンを閉めていたので同室の子とはほとんど話すこともなく、顔もよく分からず名前も分かりませんでした。術後の苦しい時を過ぎてしまった後の爽にとっては「話す相手もいない退屈さ」が最も辛かったようです。ただ入院初日に別の部屋の同学年の男の子と仲良くなり、お互い翌日の手術を控えてその日めいっぱい遊べたのは、2才の時の入院で初対面の子とでも仲良くなって遊ぶ術を身につけていたおかげです。 (2006.8.24)

2000.1.30(日) こども医療センター入院 292日目  外泊  

[状態]
骨髄抑制


*この頃の飲み薬 → ファンギゾン ・ バクトラミン ・
              グリチロン(肝機能障害の薬。月初めに肝機能障害になって以来)
              ノイチーム(鼻づまりひどいため)

[食事]
○朝食        ラーメン1杯・お茶200t
○昼食        ピザ1切れ・クロワッサン1個・ミルミル
○夕食        ふりかけごはん1杯・お茶200t

○爽母
夫の誕生日。


2000.1.31(月) こども医療センター入院 293日目 外泊 

[状態]
骨髄抑制

[食事]
○朝食        カップめん1個・お茶300t
○昼食        クリームパン1個半・たこ焼き3個・お茶200t
○おやつ     ポテトチップス(少)・ミルミル・ヨーグルト1/2個
○夕食        おにぎり1個(シャケ)・お茶

○爽母
夫、会社を休む。


2000.2.1(火) こども医療センター入院 294日目  帰院のち外泊  

AFP 9.5

[状態]
骨髄抑制 ・ 発熱37度8分

[処置]
採血 ・ 包交 ・ フィルター交換

[採血結果]
好中球        672                             GOT          40
白血球        1600                           GPT           34
ヘモグロビン   9.2                              血小板        9万4000

○爽母
先週より爽、看護婦Sをひどく恐れるため、本日婦長に直談判し、爽の担当からはずすよう申し入れる。婦長も了承。
(*小さい子は何かあっても説明できません。この時の怖がり方は何か非常にイヤなことをされたか、他の子がされるのを目撃したか、いずれかでなくてはとても理解できないほど尋常ではありませんでした。この看護婦は子供や親に対する態度の悪さでは定評があり、過去にも当時の親が相談室などに何度もクレームをつけたが改善されなかったという人物です。)

午後3時すぎ帰宅。
金曜日のAFP13と聞く。今回は下がりが悪く心配。

[看護記録]
9時30分帰院。10時採血し、包交、フィルター交換。
帰院時熱37度8分あるが、ノイトロ(*好中球)は上がってきているとのことで、再外泊となる。
12時30分、外泊へ。

[食事]
○朝食        クロワッサン1個・ヨーグルト1個・お茶100t
○昼食        ごはん
○夕食        ハヤシライス2皿・お茶50t・ジュース150t

○爽母
下の子は実家父が毎週火曜日を休みとしてくれたため、実家で預かってもらうことになる。
下の子
は疲れて6時すぎまで眠る。


2000.2.2(水) こども医療センター入院 295日目  外泊  

[状態]
骨髄抑制 ・ 頭部の痛み

○爽母
朝昼2、3回「髪の毛の下が痛い」と言うが、確かめようとすると病院で何かされると思っているらしく、「痛くない」と言う。
痛みの原因分からず、少し様子を見ることにする。
今日久しぶりに実家母がグリーンピースご飯とローソンのおでんを持って家に来る。
11時から1時半までいてくれたので、近所まで用足しに行く。

[食事]
○朝食        マヨネーズかけごはん2杯・お茶200t
○昼食        おでん(ちくわ・さつまあげ)・ミルミル1本
○夕食      カレー1皿・カップめん(少)・お茶50t


2000.2.3(木) こども医療センター入院 296日目  外泊

[状態]
骨髄抑制 ・ 発熱37度5分

○爽母
昼頃発熱37度5分。

[食事]
○朝食        カレー1皿半・お茶200t
○昼食        コロッケパン1/2個・うどん1/2杯・お茶150t
○夕食      ナポリタン1皿・なると1/3本・お茶100t


2000.2.4(金) こども医療センター入院 297日目 帰院のち外泊 

AFP 9.2(↓)

[状態]
骨髄抑制

[処置]
採血

[採血結果]
好中球        540                             GOT          48
白血球        1800                           GPT           39
ヘモグロビン   9.4                             血小板        11万

[看護記録]
10時帰院。12時IVH包交、フィルター交換。
14時50分、母と表情よく外泊へ。

[食事]
○朝食        マヨネーズかけごはん1杯半・お茶150t
○夕食        いなりずし3個・お茶
○おやつ      ポテトチップス・チョコレート・ハンバーガー3くち


2000.2.5(土) こども医療センター入院 298日目  外泊

[状態]
骨髄抑制 ・ 吐き気 ・ 頭痛

○爽母
やや吐き気のある様子。頭痛を時々訴えるが、30分ほどでなくなる(髪の毛の下が痛いと言う)。

[食事]
○朝食        ラーメン1杯・お茶
○おやつ      ラムネ菓子・チョコレート・ミルミル1本
○昼食        パン1個・ミルミル1本・お茶
○夕食      ミートソース1皿・お茶100t


2000.2.6(日) こども医療センター入院 299日目  外泊

[状態]
骨髄抑制 ・ 頭痛

○爽母
1回だけ頭痛を訴えるが、30分ほどでなくなる。
午後実家父と爽と3人でドライブ。羽田空港に飛行機を見に行く。
(*高速道路を使えば羽田空港まで30分くらいで以外に近かったので、ちょうどよいドライブとなりました。時期的に巷ではインフルエンザやカゼが流行っていたので、ドライブはかっこうの気分転換でした。)

[食事]
○朝食        ミートソース1皿・お茶
○昼食        お好み焼き・お茶
○おやつ     チョコレート
○夕食    マヨネーズかけごはん・とんかつ1くち・お茶


2000.2.7(月) こども医療センター入院 300日目  外泊

[状態]
骨髄抑制 ・ 下痢

○爽母
朝から昼にかけて3回下痢。

[食事]
○朝食        ラーメン1杯・お茶150t
○昼食        うどん・なると1/2本・お茶150t
○夕食      コロッケ2個・ごはん2杯・みそ汁3くち・お茶50t


2000.2.8(火) こども医療センター入院 301日目  帰院

AFP 8.5(↓)

[状態]
骨髄抑制 ・ 肝機能障害 ・ 身長88p ・ 体重12s

[処置]
採血 ・ 包交 ・ フィルター交換

[採血結果]
好中球       875                             GOT          58
白血球       2500                           GPT           46
ヘモグロビン  9.4                              血小板        17万4000

[医師カルテ]
BM(*骨髄)回復。

[看護記録]
10時帰院。17時10分から病棟内散歩。
(夕方からも)母見てはいるが、時々廊下走っている。母、何回も注意しているが、児はきかず。転倒はなし。
21時30分、入眠。

○爽母
看護婦Sと衝突。
(*決してケンカっ早いほうではありませんし、言ってみれば「子供を人質にとられている」のでぶつかりたくはありませんでしたが、何しろどうにもならない理不尽さに何回か大声をあげてしまいました。ま、この人を知っていれば誰でも「なるほど納得」するでしょう。)

[食事]
○朝食        ラーメン1杯・お茶100t
○おやつ     ジュース
○夕食        ごはん1杯半
○おやつ       ジョア


2000.2.9(水) こども医療センター入院 302日目  

[状態]
夕方微熱

[処置]
蓄尿(尿カテーテル)24時間 ・ 水の点滴

[看護記録]
朝食中もすぐゴロゴロしてしまう。
9時40分、カテーテル(10フォーリー)留置し、蓄尿開始。
歩行したがり、始めは痛がって歩幅狭くちょこちょこ歩いていたが、そのうち走り回っている。尿もれなし。
疼痛著明となりバルーン位置ずらし、気休めにペニス先端にイソジン消毒、キシロカインゼリー(*麻酔)塗布。
16時に主治医診察。処置なし、指示変更なし。「動くとカテが当たっていたいのは仕方ない」と言われた、と母。
(*夕方からも)おしゃべりさかんにあるが、時々意味不明。
鼻汁みられたのでティッシュで拭こうとすると抵抗示し、「お耳で鼻するのー!」と。
綿棒で鼻くそを取ることらしい。言うことが通じると満足げ。
夕方はチョロチョロ走り回り、「おちんちん痛い!」を連発。
ベッドに入れてからも外に出たがっていたが、面会終了時もナースに抱っこされスムーズ。
尿カテーテル留置は「検査のため」と本人口では言っている。
ペニス先端は痛いらしく、消毒とキシロカインゼリーで対応した。オムツに白いアイテル(*膿)付着あり。
37度4分くらいの微熱あり。20時40分、ルート接続、ST3、メイロン開始。
21時30分、入眠。

○爽母
爽、蓄尿のカテーテルを痛がる。
(*導尿のカテーテルは私も何度かやったことありますが、きちんとよい位置に入っていれば痛くも何ともないんですよね。男女で差があるのかどうかは分かりませんが、2度痛かったことがあったので看護師さんに言って位置をほんのわずかずらしてもらったら痛くなくなりました。なのでお子さんが痛がっている時には少し位置をずらしてもらうように言ってみると改善されることがあります。)

[食事]
○朝食        ごはん1/2杯・ハム
○おやつ     アイスクリーム
○おやつ     オレンジジュース

○爽母
正午頃、茨城義母来る。


2000.2.10(木) こども医療センター入院 303日目 第10回抗がん剤投与開始 

[処置]
エトポシド(*抗がん剤)投与
イフォスファミド(*抗がん剤)投与 ・ 蓄尿

[看護記録]
(*朝)ペニスの痛み訴えないが、オムツにアイテル(*膿)様のもの付着している。
ドクターに見せるも、あと数時間で抜くので様子見ましょう、と。
食事中落ちつきなく、立って食べようとしたり動き回ろうとする。薬杯をなげたりもする。注意すると、キーッとわめく。
9時40分、蓄尿閉め。(*この後も尿潜血とpHチェックのためカテーテル留置)
本日よりchemo(*化学療法。抗がん剤治療のこと)開始。嘔気嘔吐なし。
尿流出まず良。pH7.5から8をキープし経過。尿潜血は(+)。
「おうち帰りたい」と言う。点滴スタンドをいじる。注意するとキーキー怒る。

10時、カイトリル (*制吐剤)ウロミテキサン(*出血性膀胱炎の予防)開始。
10時35分、VPー16(*抗がん剤エトポシド)投与開始。
40分、イホマイド(*抗がん剤イフォスファミド)投与開始。

バルーン留置中、夕方より痛み訴える。「おちんちんが痛い」と。
17時15分、バルーンカテーテル抜去。
抜去時ペニス先端に黄緑色の膿のような浸出液付着。ペニス先端の発赤著明。
イソジン消毒し、様子見ることとなるが、排尿痛強く、その後も痛みの訴え続く。
Dr.Aに報告するも、鎮痛剤が効きそうな痛みではないので様子見て下さい、と。
その後20時10分入眠出来るが、排尿時のみ覚醒して痛み訴えていた。
バルーン10Fr(*管の太さ)で、やや児にとって太めで尿道が傷ついている可能性あり。
尿道口の観察続けていく。利尿はまずまず良。潜血は(+−)から(+)。

○爽母
夕方、尿カテーテルを抜くが、それでも痛がる。おちんちんの先から少量の膿が出る。
(*前日から痛がっていましたが、導尿していれば多少痛いこともあるかなくらいに思っていました。でも膿が出ているのを見て、「そりゃ痛いよ」と思いました。グズグズ言ったりいらだったりしていたのも痛みのためだったようです。)

[使用薬剤]
・VPー16 54r                                    ・ST3
・イホマイド 1g                                     ・メイロン 2A
・カイトリル 0.5r                                ・ビタメジン 2A
・ウロミテキサン 400r ・ 1200r                  ・ラシックス(*降圧利尿剤) 5r

[食事]
○朝食        ごはん1杯
○夕食        ごはん1杯・お茶
○おやつ      牛乳(少)


2000.2.11(金) こども医療センター入院 304日目 第10回抗がん剤投与2日目 

[状態]
骨髄抑制 ・ 肝機能障害 ・ 夕方微熱 ・ 倦怠感

[処置]
採血 ・ エトポシド投与 ・ イフォスファミド投与

[採血結果]
ヘモグロビン      9.7                             GOT          57
白血球         2000                           GPT           46
血小板         15万                           CRP          0.12

[看護記録]
朝食は、「気持ちわるーい」と2、3くちしかすすまず。
内服抵抗大。嘔吐なし。尿流出まずまず。pH8。
朝はおもちゃ(車)に夢中でルート、ポンプいじりなし。
本日治療2日目。
ベプシド(*抗がん剤)開始後より尿pH6.5から7と低く、メイロン2回投与するが、16時ようやく7.2へ上昇する。
尿潜血(+−)。ラシックス(*降圧利尿剤)の反応よく、利尿良好。
倦怠感あったのか、昼食後コテッと寝てしまう(30から40分程)。
バイタル(*血圧・脈)など著変なく、14時から起きて母とベッド上で遊ぶ。嘔気ないが食思はあまりないよう。

○爽母
爽は食欲あまりなし。だるそうにしている。

[看護記録]
同室児が椅子に座って絵を描いていると、「座るー」と大声出したり、ルート類直しても直してもからまってしまう。
時々ポンプのいたずらもする。母面会後はいくらか気がまぎれているよう。
昨日までバルーン挿入していたためか、「痛い」と言ってオマルに座らずオムツに全部排尿してしまう。
午後より痛み訴えなくなる。
(*夕方から)倦怠感あるのか、いつもよりおとなしい。
夕方から37度4分。

[使用薬剤]
・ベプシド(*抗がん剤) 54r                          ・ラシックス
・イホマイド(*抗がん剤) 1g                           ・メイロン 1Aを3回
・ウロミテキサン 400r ・ 1200r               ・ST3

[食事]
○朝食        ごはん2〜3くち
○昼食        ごはん1/4杯
○おやつ      ジュース
○夕食        ごはん1杯
○おやつ       飲まず

○爽母
10時すぎ茨城義母帰る。


2000.2.12(土) こども医療センター入院 305日目  第10回抗がん剤投与3日目

[状態]
食欲低下 ・ 倦怠感

[処置]
エトポシド投与 ・ イフォスファミド投与

○爽母
昨日より元気あるが、だるそう。

[看護記録]
1時30分、尿pH6.5と低かったためメイロン投与。潜血(−)。
起床後嘔気ないが食思すすまず、ごはんで遊んでしまう。発熱なし。
薬はナース2人がかりで押さえようやく飲む。
つまらなくなると、すぐ点滴ルートいじったりする。ルート類多く、すぐグルグル巻きになる(*4〜6本点滴の管がついている)。
嘔吐ないが倦怠感あるのか、ゴロゴロすること多い。
と言ってもいつもより少ないが相変わらずベッド上ジャンプしたり、奇声上げたりすることあり。
21時すぎ入眠。

[使用薬剤]
・ベプシド 54r                              ・イホマイド 1g
・カイトリル 0.5r                         ・ラシックス 5r
・メイロン                                        ・ST3
・ウロミテキサン 400r ・ 1200r

[食事]
○朝食        ごはん1/4杯
○昼食        (少)
○おやつ     アイスクリーム・ミルミル
○夕食        ごはん1杯半
○おやつ     オレンジジュース

○爽母
明け方下の子大いに泣き、安眠妨害される。当人は昼前にまた眠る。
(*赤ちゃんにはありがちですが、親は眠い・・・。)