24    2000.3.12-     (入院日目334〜日目)


★ ちょっと寄り道(23) 安心ということ
小児がんの治療と言ってもそれぞれのがんの種類によって使う抗がん剤だけでも違いますし、同じ肝芽腫でもそれぞれの状態によって治療は違います。さらに全く同じ治療をしていても出てくる副作用や晩期傷害も千差万別ですし、同じ副作用や晩期傷害が出ても「出方」はこれまた千差万別です。
しかも退院後何年も経ってから出てきたもので、「これは果たして副作用によるものなのか、それとも治療とは関係なくこの子にたまたま出たものなのか・・」と考えても答えの見つからないものまであります。
そういった場合、その子が成長していく上で見守るべきものなのか、治療が必要かどうか医師に診てもらったほうがよいものなのかの判断を親がしなくてはならないこともあり、子育ては本当に難しいです。。
ただそう考えられるようになったのは、自分の本当の気持ちの中の『恐れ』が少なくなったからなんだと思います。何しろ退院して数年は「子供が大人になる」こと自体をあまり現実的に想像出来ませんでしたから。

先日は外来から帰宅してAFPの結果を聞く電話をする時間を1時間半忘れてしまいました。
以前はその時間が来るまでドキドキしどおしだったり、「絶対忘れたら困る!」と目覚ましをかけたりしていたこともありましたが、見事に忘れていました。思い出した時には「しまった!!」と大慌てで電話をして数値を聞きましたが、電話を切ったあと、「じわじわとうれしい」というか「気持ちが軽くなる」というか変な感慨におそわれました。「電話する時間を忘れるほど安心できるようになったんだなぁ」と。

でも。
私はゲンはかつがない人間ですが、『安心すると何かが起きる』というジンクスだけは「ある」と思わざるをえないほど、子供の病気については安心するたびに絶妙のタイミングで心配なことが起きてきて、そのジンクスはまだ消せるほど安心が続いていないので、「もう安心」とは思わないようにしているんです。
この気持ち、たぶん分かる親も多いと思います (2006.10.5)

2000.3.12(日) こども医療センター入院 334日目  外泊

○爽母
最近鼻づまり、以前にも増してひどい。バクトラミンかファンギゾンのせいだろうか。
(*鼻づまりは後にアレルギー性鼻炎と診断されたのでそのためでしたが、退院後バクトラミンをやめたら目に見えて軽減したので、飲み薬の影響もあったかと思います。さらに今年(2006年)大きかった扁桃腺をとったことで就寝時の無呼吸と鼻づまりはほとんど解消しました。)

○爽父
夕方子供たちを風呂へ入れていると、茨城から母が来てくれる。

[食事]
○朝食        ごはん1杯・マヨネーズ・ウィンナ2本・お茶100t
○昼食        たこ焼き6個・カスタードクリーム・うどん(少)・ミルミル1本・お茶
○夕食        いなりあげ5枚(ごはんなし)・ハンバーガー半分・お茶150t


2000.3.13(月) こども医療センター入院 335日目  

AFP 7.7(↓)

[状態]
骨髄抑制 ・ 肝機能障害

[処置]
採血 ・ 水の点滴

[採血結果]
好中球        476                             GOT          51
白血球        1700                           GPT          48
血小板        11万7000                   ヘモグロビン  9.1

○爽母
明日より第11回抗がん剤投与のため、本日よりお泊り。

今まではカルボプラチン、エトポシド、イフォスファミドの3種類だったが、VPー16(*エトポシド)は許容量いっぱいとなり、カルボは聴力が落ちてきたため使用せず、イホマイド(*イフォスファミド)のみとなる。1種類だからといって再発率が上がることはないとのこと。
(*エトポシドは二次がんを起こしやすい薬なので、こども医療センターでは使用総量の上限がありました。爽は前の治療までに上限いっぱいまで使いました。)

[医師カルテ]
聴力はCDDP(*シスプラチン。1〜6コースで投与)の影響だろう。
11コース目はIFO(*イホマイド)2g×3日で。

[看護記録]
10時帰院。何度注意しても廊下を走り回る。
母も後を追いかけているが、きつく叱ったり止めたりはしていない。
母、「もう疲れた」とこぼす。母にも手に負えない部分もあるのだろう。
危険行動ないように見て行き注意したり叱ったりすることは必要だが、時にはナース側で児と関わり、母に短時間でも休みに行ってもらうことも必要。

[食事]
○朝食        ラーメン1杯・ヨーグルト1個・お茶
○おやつ     ヨーグルト
○夕食        ごはん1杯
○おやつ     ジョア・オレンジジュース


2000.3.14(火) こども医療センター入院 336日目 第11回抗がん剤投与開始 

[状態]
鼻づまりひどい

[処置]
イフォスファミド投与

○爽父
今回の抗がん剤は1種類だけなので金曜日には帰れる。

[看護記録]
7時10分、起床。嘔気嘔吐なく食欲もまずまずあり。尿潜血(−)。
鼻閉感はいつものようにみられる。
午前中はベッド上でひとり遊びするが、おもちゃ類を全部出して散らかしてしまいご機嫌。
昼食前に他児と競ってお片づけ促すと我先に片づけをする。
11時、カイトリル (*制吐剤)0.5r投与。
11時30分、ウロミテキサン400r、12時10分、ウロミテキサン1200r、イホマイド(*抗がん剤)1g投与開始。
14時30分、ラシックス(*降圧利尿剤)5r投与。
(*夕方から)鼻閉強く、苦しそうな感じは続く。
奇声あげることたまにあるが、いつもよりは大人しい。
早々に入眠する(20時)。

[使用薬剤]
・イホマイド(*抗がん剤) 1g                            ・ST3
・ウロミテキサン 400r・1200r                      ・カイトリル (*制吐剤) 0.5r
・ラシックス 5r×2回

[食事]
○朝食        ごはん2/3杯・海苔
○昼食        ごはん1/3杯
○おやつ     ムース
○夕食        ごはん2杯・シューマイ1個
○おやつ      オレンジジュース


2000.3.15(水) こども医療センター入院 337日目 第11回抗がん剤投与2日目 

[状態]
吐き気 ・ 身長89.7p ・ 体重13.4s

[処置]
イフォスファミド投与 ・ 包交 ・ フィルター交換

[看護記録]
6時45分、起床。食思不良、吐き気あり。排尿コンスタントにあり、肉眼的血尿なし。尿潜血(−)。
本日治療2日目。気持ち悪いのもあるのか、気分ムラあり。
食事はあまり食べないが、夕食は母の介助で(赤ちゃん抱っこを要求)全量食べた。
午前中は、同室のSくん外泊より帰ってきて、「なっちゃんの車ほしー」とずっと言い続け不機嫌。
Sくんの母がずっといたためもあると思われる。
午後4時、包交のため処置室にいる間中、じっとしておらず、身長計、消火器などをいじる。
Aランクの窓をドンドンたたいたり、本人は遊びのつもりなのだろうが、目が離せなかった。
(*夕方からは)倦怠感あるようで、夕食後すぐに入眠するが、19時前に起きて、20時30分まで大騒ぎする。
尿潜血(−)で経過。尿流出良好。
(*尿潜血や尿流出をかなりチェックしているのは、イホマイドによる出血性膀胱炎という副作用の兆候がないかを見るためです。)

[使用薬剤]
・イホマイド(*抗がん剤) 1g                         ・ST3
・ウロミテキサン 400r・1200r                   ・ビタメジン1A
・カイトリル (*制吐剤) 0.5r                    ・メイロン4A
・ラシックス 5r

[食事]
○朝食        食べず
○昼食        ごはん1(少)
○おやつ      アイスクリーム
○夕食        ごはん1杯
○おやつ      ジョア


2000.3.16(木) こども医療センター入院 338日目 第11回抗がん剤投与3日目 

AFP 6.4(↓)

[状態]
食欲低下 ・ 骨髄抑制 ・ 肝機能障害

[処置]
イホマイド投与 ・ 採血

[採血結果]
好中球        408                             GOT          49
白血球        1700                           GPT           53
ヘモグロビン   9

○爽母
イホマイドのみのため、本日で投与は終了し、24時間水の点滴をして終り。

[看護記録]
0時10分、ラシックス(*降圧利尿剤)5r投与。嘔気嘔吐なし。
食堂へ行くが、麦茶をぶくぶくするだけであまりすすまず。
12時55分、イホマイド終了。ラシックス5r投与。
(*夕方から)嘔気嘔吐ないが食欲なく、夕食、おやつをほとんど食べず。
機嫌よくナースに笑顔で話しかける。活気もあり、ベッド柵につかまりジャンプしたりする。
注意すると一時やめるがまた再開。適宜注意していく。
20時、入眠。

[使用薬剤]
・イホマイド(*抗がん剤) 1g                   ・ウロミテキサン 400r・1200r
・カイトリル (*制吐剤) 0.5r        ・ラシックス 5rを3回

[食事]
○朝食        ごはん半杯
○おやつ      オレンジジュース
○夕食        食べず
○おやつ      オレンジジュース(少)


2000.3.17(金) こども医療センター入院 339日目  外泊

[状態]
骨髄抑制 ・ 肝機能障害 ・ 微熱

[処置]
水の点滴

[看護記録]
7時起床。嘔気嘔吐なし。食事中もご機嫌。
奇声を発している。尿潜血(−)。
熱37度3分あるもそれ以上上昇することなし。
ベッド上でのジャンプやヘパ生終えたシリンジ(*注射器)を触ろうとしたり、いたずらが絶えない。
叱ってもその時は「おやくそく守れるのー」と言うが、守れていない。
表情はよく外泊楽しみにしている。
12時、ウロミテキサン終了。外泊へ。

[使用薬剤]
・ウロミテキサン       ・ST3

[食事]
○昼食        グラタンのみ
○おやつ     プリン
○夕食    ミートソース1皿・お茶150t


2000.3.18(土) こども医療センター入院 340日目  外泊

[状態]
骨髄抑制 ・ 肝機能障害 ・ 背面痛

○爽母
朝、両脇腹を痛がる。
夜の10時半ころから30分ほど背面痛を訴える。

[食事]
○朝食        ラーメン(少)・ヨーグルト1個・お茶200t
○おやつ     ラムネ菓子
○昼食        たこ焼き3個・かれーうどん(少)・ミルミル1本・お茶100t
○夕食        いなりずし3個・スパゲッティミートソース半皿・お茶200t

○爽母
茨城義母帰る。
(*以前のようにではありませんでしたが、体調がよくなった義母はこの頃また時々来てくれるようになりました)


2000.3.19(日) こども医療センター入院 341日目  外泊

[状態]
嘔吐5回 ・ 熱37度5分 ・ 骨髄抑制 ・ 肝機能障害

○爽母
朝5時から6時の間に3回嘔吐。
熱37度5分。
背面痛を訴える。
朝食後も背中の痛み訴え、しばらくして嘔吐。
10時30分、病院に電話し、Dr.Aに話すが、外泊続けて様子見てよいと。
11時45分、再び吐き気を訴え、12時15分、嘔吐。
肝機能また悪化しているのか?
(*肝機能が悪い時の症状が出ていたので、そうかなと思っていました。果たしてその後肝機能が悪化していたことが分かりました。)

[食事]
○朝食        ラーメン3くち・ヨーグルト1個・お茶2くち
○昼食        クリームパン1/4個・シャケ(少)・ミルミル1本
○夕食        マヨネーズかけごはん1/3杯・お茶
○おやつ      ラムネ菓子


2000.3.20(月) こども医療センター入院 342日目  外泊

[状態]
骨髄抑制 ・ 肝機能障害 ・ 食欲低下

○爽母
一日中あまり食欲なし。

○爽父
夕食前に入浴。爽はヨーヨー・マのCDを聴く。
(*ヨーヨー・マは世界的なチェリストです。なぜかこの頃はまっていてよく聴いていました。(今は全然・・。) ちなみにうちは爽も下の慧も『おかあさんといっしょ』に出てくる歌は1つ2つを除いてあまり聴かなかったです。2人がお腹にいた時に私がハードロックやクラシックを聴いていたせいかなぁと時々思います(^-^;)。)

[食事]
○朝食        ラーメン(少)・玉子・お茶
○おやつ      ラムネ菓子
○昼食        たこ焼き3個・お茶200t
○おやつ      ふ菓子・ラムネ菓子
○夕食      ヨーグルト半分・ハム1枚・・お茶50t


2000.3.21(火) こども医療センター入院 343日目  帰院のち外泊

AFP 9.1(↑)

[状態]
骨髄抑制 ・ 肝機能障害 ・ 体重13.6s

[処置]
採血 ・ 腹部レントゲン

[採血結果]
好中球        220                             GOT          173
白血球        1000                           GPT           214
血小板        12万8000                    LDH           636
ヘモグロビン   8.3

○爽母
やはり肝機能悪化している。
(*「ほーらやっぱり!」と思うほど、この頃になると子供の様子を見ていてどのへんが悪いとか分かることが多くなりました。別に自慢でもうれしくもないんですが・・・。)

[医師カルテ]
嘔吐はchemo(*化学療法。抗がん剤)の影響か?
16日のAFP、6.4!
AFP10以下が10コース目。正常化して2コース → 12コースまで。
12コース目でAFP10以上となっても追加なし。AFPを観察していく。

[看護記録]
10時帰院。食事は今日はうどんだつたため比較的よく食べる。
外泊中腹痛もあったとのことで、本日14時から腹部XP(*レントゲン)撮る。
16時、外泊へ。

[食事]
○昼食        うどん2/3杯
○おやつ      ジョア
○夕食    ラーメン1杯・お茶100t


2000.3.22(水) こども医療センター入院 344日目  外泊

[状態]
骨髄抑制 ・ 肝機能障害 ・ 下痢

○爽母
朝、水様性の下痢。
昼は少量だが下痢。
夜になってほとんど水のような下痢になる(腹痛はなし)。

[食事]
○朝食        ラーメン1杯・ブロッコリー1個・お茶200t
○おやつ      ラムネ菓子
○昼食        スパゲッティ1/3皿・お茶200t
○おやつ     ホットケーキ1枚
○夕食      ピザ1切れ半・お茶100t
(*「肝機能が悪くて下痢もしているのにこのメニューはどうなの?」と思うかもしれませんが、「このメニューだから何とかこれだけ食べられました」状態なので、カゼやよくある感染症などの時のようにおかゆや消化のよいものだけにこだわりすぎる必要はないのです。というか、こだわりすぎると食欲のない時が多いので栄養が摂れなくなってしまうのです。)


2000.3.23(木) こども医療センター入院 345日目  外泊

[状態]
骨髄抑制 ・ 肝機能障害 ・ 下痢

○爽母
朝は普通便だったが、昼食は全く食べず。
夜再び下痢。

[食事]
○朝食        ピザ1切れ・お茶200t
○おやつ      ラムネ菓子
○昼食        食べず
○おやつ      ふ菓子・カルピス(少)
○夕食      ごはん半杯・シャケ・ヨーグルト1個・お茶150t


2000.3.24(金) こども医療センター入院 346日目  帰院のち外泊

AFP 7.1(↓)

[状態]
骨髄抑制 ・ 肝機能障害 ・ 下痢

[処置]
採血 ・ 包交 ・ フィルター交換

[採血結果]
好中球       220                             GOT          66
白血球       1200                           GPT          116
血小板       18万6000                    LDH          519
ヘモグロビン  9.0

[看護記録]
10時帰院。11時採血、包交、フィルター交換。
好中球220個で先日より↑しており、再外泊となる。
ドクターが採血し、ヘパ生する際、白ルートの方とても固いと2tのピストンで押す。
IV(*注入)は出来るが、ドクター、ウロキナーゼ(*酵素製剤)3000単位IVする。
その後ヘパ生プッシュスムーズ。
15時30分、外泊へ。

○爽母
いつもなら確実にお泊りのため茨城の義母に来てもらうが、外泊となる。
帰宅後、水様便少量。やたらとガスが出る。

[食事]
○朝食        ピザ1切れ・お茶
○昼食        食べず
○おやつ     ふ菓子
○夕食    ラーメン1/3杯・お茶


2000.3.25(土) こども医療センター入院 347日目  外泊

[状態]
骨髄抑制 ・ 肝機能障害 ・ 下痢

○爽母
一日中、下痢。

[食事]
○朝食        ラーメン1/3杯・ヨーグルト1個・お茶
○おやつ     ふ菓子
○昼食        パン3くち・ミルミル1本
○夕食        ごはん半杯・ほっけお茶100t
○おやつ     ラムネ菓子・ふ菓子